第22話 俺の幼なじみは、恋愛対象外………のはずだ。
『友達と好きな人の違いって、なんだろうね』
そんな一文が俺の目に飛び込んできた。
ちょうど今読んでいる小説の、主人公の言葉だ。
友達と好きな人の違い……そう考えたとき、真っ先に頭に浮かんだのは、俺の幼なじみの姿だった。
水瀬のことは、好きだ。
でも、それは幼なじみとして、友達として、もう家族同然である、ということだ。
それ以上でもそれ以下でもない。
好きだけど、恋愛感情ではない。
人は、何を持ってして感情に名前をつけるのか。
なんの根拠があってそれを恋愛だと定義するのか。
連絡先を交換したいと思ったら、それはもう好きなのか。
2人で出かけたいと思ったら、もうその好きは、恋愛感情なのか。
手を繋ぎたい、ハグをしたい、キスをしたい、抱きたい、抱かれたい……こう思うのに、恋愛感情は必要のない場合もある。ただの欲求である場合も。
ならば、独占欲を、束縛心を、ドロドロとした生黒い感情を抱けば、それは恋愛なのか。
この人がいないと生きていけない、そう思うことが正解なのか。
──執着、依存ではないのか。
恋愛感情と言うなの皮を被った、人の弱さではないのか──
友達と好きな人の違い、それはホントになんなのだろうか。
よくクラスメイトが俺に言う。
ホントは水瀬のこと好きなんだろ、って。
よくクラスメイトが俺に言う。
ホントはもう付き合ってんだろ、って。
俺と水瀬の関係は、周りから見ればカップルに見えるようだった。
2人だけで話したり、2人だけで出かけたり、2人だけで部屋にいたり、2人だけで部屋に泊まったり。
──あいつにムラっとくることもある。
でもそれは、単なる欲求に過ぎないのではないか。
水瀬のことは、好きだ。
それは幼なじみとして、友達として、もう家族同然である、ということだ。
どんなに、一緒にいてどきどきすることがあっても、ムラっとくることがあっても、……あぁ、好きだと思うことがあっても、それは恋愛感情ではない。
やっぱり俺にとって水瀬は、大切な幼なじみであり、それ以上でもそれ以下でもない。
でも、俺は今、水瀬のことが、愛おしくて、触れたくてたまらなかった。
あいつがいない未来など想像出来ないほど、俺の中でのあいつの存在は大きかった。
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