第21話 幼なじみは、恋愛アニメを見た。

「あーもう、私もアニメみたいな恋愛したーい。王道ラブコメ展開リアルで起きないかなー」

「いいか水瀬、恋愛アニメっつーのはな、リアルで起きないからこそいいんだよ。アニメみたいな展開がリアルで起こってみろ、バナナの皮で滑ってコケたら女子の胸にダイブした、食パン咥えながら角曲がったら人とぶつかった、なんてめっちゃ危ねーだろ」

「……はぁ、お前は夢がないなぁ夢が!そういうことじゃないの。別に、ほんのちょっとした事でいいのよ、そんな大袈裟なことじゃなくて」

「例えばなんだよ」

「うーん、例えば、電車に乗ってたら痴漢にあったけどイケメンのお兄さんが助けてくれて仲良くなる、とか、イケメン転校生がやって来て互いに一目惚れする、とかさ」

「お前も大分偏ってね?」

「もう、いいの!リアルで起きないことはわかってるんだから!」

「あーわかってんだな」

「わかってるわよ、2次元とリアルは違うくらい。だから今は夢の話をしてるの、妄想よ妄想」


「……つかお前、恋愛したいの?この前彼氏はまだいいっつってたじゃん」

「そりゃそうなんだけど……やっぱり恋愛アニメとかラノベとか見ると、いいなーくらいは思うよ。お前だってそうでしょ?」

「え、まぁ、そりゃーなぁ……」

「………」

「………」


「……いっそのことお前さ、俺と恋愛する?」


「………その言い方キモイ」

「……うるせー!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る