第2話 男子高生は、婚活を始める。

「失礼しました」


学級委員の仕事が終わり、職員室を出る。

教室に戻り、荷物を持って、俺のことを待っていたであろう一ノ瀬と下校する。


「樫村、あの担任ちょっと熱い感じだったな。お前の苦手なタイプじゃん」

「あぁ。でも、さっきも全然話かけてこんかったし、ちゃんと空気読める先生っぽかった」

「つか、あの先生、見た目だけなら俺ちょータイプだわ」

「確かに、顔は整ってるし胸も結構あったな。普通にスタイルはいい方だよな」

「……お前がここまで3次元の人間の容姿褒めるの珍しいな」

「まぁ、俺の嫁たちに比べると劣るけどな」

「お前何様だよ」

「ところで一ノ瀬、俺は考えた」

「何をだ」

「18歳で結婚すれば、俺は働かなくていいということに」

「……は?」

「そこそこ収入の安定した女性と結婚すれば、俺はヒモになれる。そしたら俺は働かなくていいし、一生オタクライフを満喫できる」

「……お前、ついに頭イッたか」

「だから俺は決めた。俺は……


今から婚活をする!」


「……お前、クズ以下だな」

「今から婚活をし、俺が18歳になったら結婚してくれて、尚且つ俺を養ってくれる相手を見つける」

「俺の言葉は無視か」

「俺は、働きたくない。一生部屋にひきこもっていたい。俺は……1番楽な方法で幸せになりたい!」

「はぁ、もう好きにしろ。俺は知らない」



こうして、俺の婚活は始まった。


あぁ、ヒモになりたい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る