新たな生物

 ここは宇宙の彼方にあるX星。そこでは人間が平和に暮らしていた。

 とある日、どこからか高層ビルぐらいの大きさの巨大な生物が姿を現した。人間の様な体のつくりだが、粘土のかたまりのようにグニャグニャとしている。何処から現れたのかも何故現れたのかもわからない。早速、各国から軍隊などが派遣されたが、全く歯が立たない。大砲を撃ってもその弾を蚊を潰すかのように叩き潰してしまうのだ。

 結局、人間はその生物を排除することを諦め、その生物がいることで害があるわけではなかったので、放っておくことにした。

 

 人間がその生物のいる生活に慣れてきたある日、その生物は5匹に増えた。その中には少し小さめのものもいた。人々はあまり気にしなかった、が、小さいほうの生物は、あたりを走りまわり、ビルを倒して山をくずし、ときには人を踏みつぶすようになった。

 その生物は日に日に増え続けた。大きいほうの生物も、何やら大きなものを持ち、山をくずしたり海を埋め立てたり、地面を掘ったりするようになった。もちろん人間などおかまいなしに…。

 人々は、死を恐れて地下や建物に逃げ込んだが、大きいほうの生物が撒いていく有毒の粉や、小さいほうの生物の流しこむ水などにやられてしまった。かといって、外に出ると踏みつけられる。人々はパニックになった。

 たくさんの人が亡くなった。一人二人と周りの人が居なくなる。そして、地球上に残る人間はただ一人となった。

「あれはもしかするとこの星の新たな生物なのか…。これほど残酷な生物は他にいない」

 そうして、X星に住む人間が絶滅した。

 

 数万年の後、新たな生物はX星に大きな建物を建て、それはそれは豊かな星にした。

 ある時、彼らによる国際会議が行われた。

「この星には、たくさんの生き物がいます。しかし、私たちはそのたくさんの生き物を絶滅の危機へと追いやってしまっています。私たちが誕生して間もなく、私たちに特徴の似た生物が絶滅したというデータ―もあります。では、今、私たち『人間』にできることは何なのでしょう…。」

 

 そんなある日、X星にまたしても新たな生物が現れた。パニックになった彼らは叫んだ、

「こんなに残酷な生物は他にいない。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る