22枚目 お風呂でアイス
「ただいまぁ~……。」
「あら、あんた元気ないわね。どうしたの。」
「友達と喧嘩したぁ……。」
「あんた人の気持とか考えないから、また自分の思ってることズケズケと言って怒らせたんでしょう~。」
「ママのバカ~!きっと親譲りだよ!」
そんなわけで気分を変えるために、早々にお風呂に入っています。気分が落ち込んでるときはこっそりお姉ちゃんのシャンプーとか洗顔料とかを使うのです。
お風呂に入るときはウォータープルーフのBluetoothスピーカーを持ち込んで、ジップロックに入れたスマートフォンで音楽を流しています。
今日はSparklehorseの"It's A Wonderful Life"。今の気分に寄り添うような、孤独感のある優しくてさみしい音楽。淡い古い写真のような"It's A Wonderful Life"スローなワルツ。そして笛の音、美しい"Gold Day"が始まる。大好きな流れだ。そして青春が燃え上がるような"Piano Fire"。
「私は知らないだけだったけど、それでも人が嫌だと思うことを言ってしまった事実は変わらないんだね。」
オーバードーズで死んでしまったMark Linkousの寓話的で美しい歌詞が細くさみしげな歌声とともに歌われています。
「自分が悪くないとか悪いとかは関係なくて、人を傷つけるのは嫌だなぁ。」
そう言って湯船に顔を半分埋めてブクブクとしていると、母親がお風呂に来てアイスを持ってきてくれました。
「能天気だけが取り柄なんだから元気出しなさいな。」
「うん、ありがとう。」
お風呂で食べるアイスは美味しくて、少し元気が出ました。と、誤ってお姉ちゃんの洗顔料を湯船に落としてしまいました。キャップをちゃんと閉めてなかった!1万円くらいする高い洗顔料が湯船に溶けていく!
「う、ひ、秘密にしたらバレないよね……。」
その夜、すぐにバレてお姉ちゃんにめちゃくちゃに怒られたのでした。
☆ ☆ ☆
Sparklehorse - It's A Wonderful Life - 2001
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