11枚目 コーヒーの香りとともに
「よし、じゃああたしはどうだ。なんかいいものを教えてくれ。」
「おぬしの顔を見ればもう一目瞭然じゃ。La Monte Youngの"The Well-Tuned Piano"じゃな。」
「おい、ふざけるな、7万円もするじゃあないか!学生にそんなのが買えるわけないだろう!他のにしろ!」
「まあ、それもそうか……、じゃあこれじゃな、アメリカの盲目の作曲家、Moondogの1st、"Moondog"じゃ。オーディンの格好して生活した路上のミニマリスト、楽曲のために自分の子供を泣かせたり、独自の楽器を開発したりとかなりの変人じゃ。」
「おお、良さげだな!人となりも奇妙で好感が持てる。これにする。」
「ねえねえ、ヒメちゃんのさっそく流そうよ~。」
「どれどれ、かけてやるかの。おぬしらにはついでにコーヒーもサービスしてやろう。」
「やった~!」
ミニマルな打楽器の音にピアノ、子供の鳴き声にそれをあやす日本人の女性の声。
「2曲目の"Lullaby"で歌ったりあやしている声、これはMoondogの奥さんじゃ。」
「独特のどこか異国を思わせるメロディーに変な打楽器の音、鳥の鳴き声や、人の声などのミュジーク・コンクレート。ミニマリズムを感じる楽曲。いいぞ、これはあたし好みだ!」
「曲も耳障りが良いし、楽曲に使われている音もなんか面白わね。」
「ストリートに根ざしたミニマル・ミュージックといったところかのう、20年くらいは自分の意志で路上生活者をしながら音楽をやっていたようじゃぞ。」
「ますます変人じゃん!すげー!」
不思議な雰囲気の音楽を聴きながらのコーヒーは、まるで旅行先で休憩をしているような体験を引き起しました。
☆ ☆ ☆
Moondog - Moondog - 1956
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