10枚目 冥途亭
「なあ、今日は久々にあそこ行ってみないか?
「ああ、あのジジイの店かぁ!いいかもなぁ、行こうぜ!」
「最近ご無沙汰だったもんね~。」
「じゃあ決まりね。」
という事で今日は冥途亭と言う変わった名前の中古レコード屋兼コーヒー屋に来ています。このお店は買った商品を店内で流してもらえたり、そのままコーヒーを頂いて休憩できる素敵なお店です。そして何よりも他のお店と違う点が……。
「おぬしの買うものはおぬしが決めるんじゃない、わしが決める!」
「でた~!!」
そうです、このお店は店長のおじいちゃんがお客の話を聞いて、まるでお薬を処方するみたいに音楽を選んでくれるのです。あ、もちろん自分で勝手に選んで買うこともできますけど……。
「私、よくお姉ちゃんに名盤を聴けって叱られるんですけど、でも知らない音楽も開拓したいんですよね。悩ましいです。」
「ふむ、おぬしフォークは好きか?」
「好きです!でもあんまり数は聴いてないかも。Nick Drakeとか好きです。」
「じゃあおぬしにはこれじゃ、Judee Sillの1st"Judee Sill"。ヒッピー世代的な明るさと哀愁が共存する世界観に彼女の宗教観を表すようなストリングワークが美しい。」
「おじいちゃんの言うことは信用しているのでこれにします!流して貰っていいですか?」
「ああ、いいよ。」
波のようにたゆたう優しいボーカルメロディー、独特のコーラスワーク、そしておじいちゃんの言ったとおり美しく繊細な感情の機微が感じられる音楽でした。
「テンコもう買ったのね。ああ、いい曲、きれいね。」
「ああ、これは心が洗われるな。」
「"The Phanton Cowboy"は彼女のバッハに影響を受けたというコーラスを感じられるし、"Jesus Was A Cross Maker"は多くの人に愛される名曲なんじゃ。」
「いいじゃねえか、どの曲もハズレがねえ!」
「えへへ、おじいちゃん、いいもの教えてくれてありがとう!」
☆ ☆ ☆
Judee Sill - Judee Sill - 1971
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