第4話
遊園地に来た。今日は純一とデートだ。観覧車やメリーゴーランド、ジェットコースターなど、とにかくいっぱいアトラクションを楽しんだ。「純一、鼻に付いてるよ。」「本当?じゃ、取って。」「もう、しょうがないなぁ。」なんて私が読んでいた恋愛漫画のシチュエーションを再現したり、とにかく楽しかった。気づけば夕方、日が暮れそうだった。今、フードコートで私達は夕陽に黄昏ている。そして私は夕陽が当たって眩しそうにしている純一を見つめている。「今日は楽しかったね、純一。」本当に楽しかったみたいだ。私はついそんな言葉を口にしていた。「そっか、僕も楽しかったよ。お化け屋敷でビビってた佳奈さんのあの表情、もう一回みたいなぁ。」「もう、やめてよ、本当に怖かったんだから。」世間のカップルがするであろう会話を私達はしている。
「ねえ純一....。あのね、私、今まで男の人とデートなんてしたことなかった。ううん、それどころかこの先ずっと男の人とお付き合いすることなんてないと思ってた。でも、カスタム彼氏であなたを買って、一緒に生活して、こうしてデートして、最初はすごく緊張してたけど、今は貴方が居ないと私生きていけない気がするの。だからね、これからもずっと一緒だよ。私の前から消えないで、純一。」私はちょっとイタく聞こえそうな告白をし終わると、何故か純一の顔がぼやけて見えた。気づいたら涙を流していた。このままではメイクが崩れて目の前の彼氏にブサイクな顔を見せてしまう。そう思った私はカバンからハンカチを取り出し、涙を拭く。すると純一は「もちろん一緒だよ。僕の方こそ、佳奈さんがいないと生きていけないよ。」と、私を慰めた。「こいつ、ロボットの癖に人をおだてるのがうまいな。」そう思うと自然に涙が止まり、笑顔になった。笑顔になった私に、純一は座っていた席から立ち、私の方へ近づいた。「じゃあこれは誓いの印ね。」そう言うと純一は私の唇にキスをした。あまりにも衝撃的過ぎて失神しそうになった。草食系からこんなに大胆な性格になったのか。いや、私が学習させたんだ、弱さを見せている私を......。それから私と純一の愛はより一層深まった。一緒にお菓子を作ったり、一泊二日の旅行に行ったり、真里にも純一を紹介した。真里は純一の顔をまじまじと見ると「へ〜。ロボットの割によく出来てるわね。」と言った。その時、人間として純一と接して来た私は純一のことをロボットと言う言い方につい反応してしまい、
「純一はロボットじゃない!!私の大事の彼氏よ!!」と怒鳴ってしまった。「ご、ごめん。」真里は驚いた表情で謝罪した。「ちょっと佳奈さん。」隣で聞こえた純一の声に正気を取り戻した私は「あ、ごめん......。」と真里に申し訳なさそうに謝罪した。真里と別れて、家に帰る帰り道、純一が「佳奈さん、さっきはどうしたの?」と少し怒った様子で聞いて来た。「ごめん、純一が人間じゃないって聞こえたみたいでつい......。」と今にも泣きそうな声で私は答えた。するとは「僕が人間かどうかなんて関係ないよ。ロボットでも佳奈さんは僕を愛してるし、僕だって佳奈さんを愛してる。誰がなんて言おうと関係ない。」と言った。「うん、そうだよね。ありがと、純一。愛してるよ。これからもよろしくね!」「こちらこそ!」二人の愛を確認するキスをして、私達は帰路に着いた。純一と離れ離れになることなんてあり得ない。これからも幸せな毎日が私達待っているだろう。
だが、それも長くは続かなかった。それは純一と付き合い初めて半年のことだった......。
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