第2話

 ボタンを押すと中から痩せ型で塩顔のイケメンが出てきた。「凄い、カスタマイズした通りだ。」驚く私をよそに目を閉じていた彼氏が目を開き、言葉を放った。「こんばんは、君が僕の彼女?」男性とのコミニュケーションが少ない私は喋ることが出来ず、ただただ首を縦に振るだけだった。「えっと...早速なんだけど君と僕の名前を教えて欲しいな。」この控えめな感じ、私が設定した草食系の性格だ。おっと、感心している場合じゃなかった。「私の名前は遠藤佳奈。貴方の名前ね、名前、名前......。そうね...貴方の名前は純一、遠藤純一よ!」純一とは我ながら良いネーミングセンスではないか。そんなことを思っていたら、純一がまた口を開いた。「佳奈さん、お腹空いたでしょ?今日は僕が夕飯を作るよ。」「あ、うん。そうね、お願いしようかしら。」料理が出来る、これも設定通り。唐突すぎる会話に少し戸惑いながらも私は、冷蔵庫の中を見せたり食器や調理器具の場所を教えたりした。


 「わあ、美味しそう!」純一はハンバーグを作った。こんなに綺麗な焼き色の付いたハンバーグは見たことがない。しかし肝心なのは味だ。味の感想はしっかり言わせてもらう。「美味しい。」その一言が口から出てしまった。料理の腕に自信がある私でもこんなに美味しいハンバーグは食べたことがない。正直言って嫉妬してしまうレベルだ。「美味しい?火、ちゃんと通ってたかな?」不安そうな顔をした純一に私は「ううん、火通ってるよ、美味しい!」そうフォローする。すると、純一は照れた様子で微笑んだ。可愛い。母性本能がくすぐられる。夕食後、私は純一に部屋着を渡し、お風呂に入らせた。布団を私のベッドの隣に敷き、そこで寝るように私が言うと、純一は「一人じゃ寂しいなよ。佳奈さんと一緒に寝たいな。」この彼氏は乙女心をたいへんよく分かっていらっしゃる。「もう、しょうがないなぁ。」呆れた顔で私は了承したが、心拍数は明らかに跳ね上がっていた。私は一生懸命寝ようとするが、寝ることが出来ない。何故なら純一が私の後ろから抱きしめているからだ。「明日仕事なのに...。」嬉しいのか、不安なのか、よくわからない気持ちになったがこれだけは言える。「カスタム彼氏最高!純一最高!!」

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