入学式と廃棄物処分場クラス
・時刻:ポショポチョ氏の三回目の死亡から二日前(訂正)
・場所:サルでも入学できる魔術高等学園・蘇生の教会
あのイカれたクソ眼鏡女め。
俺はいじめられっ子を助けようと奮闘しただけなのに、言い訳も聞かず俺をキルしやがった。確かにVRMMOみたいな世界だけど、コレはゲームじゃなくて現実なんだ。命の重さってのを知って欲しい。ポショポチョの命は決して軽い物じゃないんだ。
俺はどっこいしょと棺桶の蓋を投げ飛ばし、女神【アバズレ】像の御御足元から蘇生を果たす。
起き上がりに周りを見渡すと、シスターが傍にいたので俺は元気よく手を振った。
「………? ………ッ!?」
シスターはまるで嘘だろと言わんばかりに俺を二度見した。
「シスターっ!!」
俺は元気よく挨拶する。
「……ぽ、ポショポチョ? な、なぜ、死亡を……?」
分かる。シスターは俺が何故死んでしまったのか気になり、嘆いているのだ。
シスターは確かに淫魔のサキュバスだが、その心はバファリンを超えた優しさで出来ている。転移者が不死だからといっても、シスターは死という重さを誰よりも重く受け止めているのだ。
俺はあるがままの事態をシスターに打ち明けた。
イジメの現場を目撃したこと。いじめられっ子を救おうと奮闘したこと。イカれたクソ眼鏡女に殺されたこと。全てをあるがままに。
「…………」
話を聞き終えたシスターはそっと目を閉じて、悪魔の翼を折り畳み、ついでに悪魔の尻尾もふにゃりと地面に落ちる。
きっと、俺を殺しやがったイカれたクソ眼鏡女に嘆いているのだ。間違いない。
「……ポショポチョ」
「はいっ!」
「私と一緒に入学式に、行きましょう」
「うんっ!!」
俺は元気よく頷いた。
◆◆◆◆
・時刻:ポショポチョ氏の四回目の死亡から二日前(訂正)
・場所:サルでも入学できる魔術高等学園・体育館
「えー、本日は大変お日柄も良く、まさに入学式に打って付けの日となりました…」
シスターに手を繋がれルンルン気分で体育館に向かうと、入学式は既に始まっていた。
俺は小心者であり、生粋の日本人だ。こう言った場面での途中参加は頗る気まずいし、なんか周りに申し訳なく想ってしまう。出来る限り目立たないようにしようと、俺はそっと音を立てずに扉を開き、中を覗いた。
余談だが、全校生徒、約八百人。その内、転移者は約五百人ほど居る。残りの三百人は魔術学園に純粋に勉強しにきた亜人さん達だ。事前に、ミュカバ氏に言われていた情報だと、今年の入学者は二百人。過去最多の人数になるらしい。
「ポショポチョ、私は保護者席にいますので、ちゃんと大人しくしているのですよ。くれぐれも入学式で派手な行為は控えるように。約束出来ますか?」
「勿論です、任せてください、シスター!!」
「……ちゃんと見てますからね? しっかりするのですよ?」
後ろ髪を引かれる思いなのだろう、シスターはチラチラと俺を見ながらも後方に用意された保護者席へと向かっていく。全く、俺はなんて愛されているのだろう。やはり、シスターは素晴らしいお人だ。
さて、と気を取り直し、俺は前方の入学者が座る座席を見つめた。俺は何処に座れば良いのだろう。適当でも構わないのかな。
「ポショポチョさぁん」
この声は、ヤベぇ女の声。俺は即座に戦闘態勢に映り、素早く振り向いてファイティングポーズをとる。
「やるのか?」
「殺りませんよ。私を殺人鬼か何かと想っているのですか?」
いや、事実、近しい存在なのは間違いないだろう。否定出来ると想ってんのか、此奴。正気を疑うわ。
端からスタスタと此方に歩み寄るイカれたクソ眼鏡女ことミュカバ氏はズレだ眼鏡を指で整えながら口を開く。
「入学者の席順はクラス別となっています」
「クラス別?」
「貴方はENDクラス。一番右です」
なにその終わりのクラスって言う安易で直球なクラス名は。
まぁ、分かっていた。いくらポショポチョさんは心優しく穏やかな人間だったとしても、百七十二回の前科持ちとなれば、周りの目は冷たくなるのも仕方ないことだ。良いさ、これからのポショポチョさんを見てくれれば、来年には最高成績素行優秀者しかいないクラスに移動したポショポチョさんがいるから。
「担任は私ですので、宜しくお願いします」
「宜しくお願いします」
俺は素直にぺこりと頭を下げた。
「………ちなみに、賄賂などを模索しているのでしたら殺します」
「ふざけるなっ! ポショポチョさんは賄賂なんて渡すような男じゃないっ!! 見くびるなよっ!!」
そして袖に隠していた金貨をそっとポケットに仕舞い、激怒した。賄賂を受け取らないとか正気か? 優遇するしないは兎も角、貰える金は貰っておくのがベストだろうに。
「貴方が素直になると不安しか感じないから言ったまでです。さぁ、速くしないと入学式が終わりますので、席に座ってください。座らないなら殺します」
「座ります」
やっぱり一番ヤバい奴は俺じゃなくて彼奴なんじゃないの?
俺はへへっと笑いへこへこと頭を下げながらミュカバ氏から逃げ出す。
まぁ、良い。あの女が言っていたように、イエスマンになっていれば殺されることはないのだろう。素直に従っておけば危険は無いのだ。
しかし、と辺りを見回して俺は想う。
この魔術学園ってのは金が掛かっている。体育館だと言われているが、実際のところは中世のコロッセオみたいな造りであり、グルッと中央の運動場を囲うようにフカフカな座椅子が置かれている。この施設を作るだけでも、商会や国家規模の予算が架かるのは間違いない。
椅子の座り心地も良さそうだと想っていると、右奥に座る数人の生徒が見えた。と、言うより、他のクラスは五十人くらい居るのに対し、右奥のクラスは十人ほどしかいない。
面々もかなり濃い見た目をしている奴等しかいない。
俺は瞬時に理解した。
此処はゴミのクラスだ、と。
腐ったバナナの集まりだ、と。
何故なら、俺の目は真っ直ぐとある女を捕らえたからだ。
スラリとしたスタイルに黒のスカートと黒のパンスト、黒シャツ。艶やかな黒髪を三つ編み。明らかに整形しているであろう美人な顔立ちの、知的そうに見える俺の性癖を女体化したような全身黒一色コーデの女。
見間違いようがなかった。
“金の亡者の悪女”。“詐欺師の女”。“魔王の妃”。“悪魔の姫君”。“魔薬の右腕”。様々な二つ名で王都を恐怖のどん底に陥れた最低最悪の軍師。
「サトウ・テンシ・ミカエルちゃん……」
「っ……!?」
佐藤
別名、“ワフゥ”だ。
俺と同じく、ゴッコルさんの犬となっていた経歴を持つ女は、ゴッコルさんより「君はワフゥって感じだなぁ……」と名付けられ、本当にワフゥという名前に変わった女。ワフゥはその時、ゴッコルさんを神扱いするほど狂喜乱舞して喜んだ。
俺の性癖擬人化女ことワフゥの失われた名前を呼んだせいか、ワフゥは椅子から転げ落ちて、腰に括り付けたナイフを素早く引き抜いた。
「ぼ、ボクはワフゥだッ!! そんなイカれたDQNネームじゃないッ!! ボクはワフゥなんだぞッ!! ゴッコルさんが親なんだッ!! だ、誰がその名前を呼んだッ!? ぶっ殺してやるぞッ!!」
「落ち着けよ、情緒不安定か」
俺は凄く優しい気持ちでワフゥの肩を叩く。
「……ッ!? う、うぁあぁあぁあッ!? き、君はッ!? そ、そんな、嘘だッ……ば、馬鹿なッ!? 有り得ないッ!! ゴッコルさんに飼われていた筈じゃッ!?」
その封印されていた悪魔が舞い戻ったみたいな言い方はなんなの?
俺の顔を見たワフゥは信じられない者をみたと言わんばかりに腰を抜かし、ナイフをポロリと地面に落とす。そして、ポロリと涙を流し始めた。
「ワフゥや」
「あ、あぁ……た、タツナミ氏……っ……」
「その名は捨てた。今はポショポチョだ」
「ポショ、ポチョ……? え? 頗る言い辛くない……?」
「分かる。俺もそう思った。でも、ゴッコルさんに決められたから仕方ない」
「ポショポチョ氏……っ」
ゴッコルさんの名前を出したとき、ワフゥは全てを受け入れた。ワフゥにとってゴッコルさんは俺で言うシスターのような存在なのだ。名前改名という救済はワフゥにとって何よりも素晴らしい救いとなったのが窺える。
ワフゥと俺は自慢じゃないが仲間内では一番仲が良かった。此奴が俺の性癖擬人化であるためか、口説いていた事も関係してると想う。王都に居た頃、ゴッコルさんに捕まるまでは二人で偽造通貨の工場を作り上げ、国家経済破綻を起こさないよう、絶妙なバランスで金をばらまき、裏社会を牛耳っていたこともある。
ワフゥと別れることになったのは半年前だ。
ゴッコルさんに二人して捕縛され、ゴッコルさんの犬になった時、ワフゥだけは金の力で釈放され、俺は保釈金を払ってもゴッコルさんに釈放を許されなかった。
「元気だったか、ワフゥ軍師」
「ぼ、ボクは……っ……ゴッコルさんが、君を飼うっていうからっ……だから、助けにいけなくてっ……フジサンとコイノボリは、タツナミ氏はゴッコルさんの犬になるしかないって言ってて……っ」
「ホモとマリーアントワネットが? マジで?」
ワフゥはボロボロと泣き喚く。まるで、俺を見捨てたことを半年間、ずっと後悔していたように。
「ぼ、ボクは君を助けたかったんだ……っ……マチャルさんがボクを虐めるとき、何時もタツナミ氏は……ポショポチョ氏は、ボクの名前を素敵だって言ってくれてっ……ポショポチョ氏は、良い人で、二人で何かやってるときは凄く楽しくて……っ」
まぁ、ある意味、世界でオンリーワンな名前だからね。世界で一つだけの名前って言い方すると素敵じゃん?
ちなみに二人で何かやってるときってのは、九割は犯罪行為だけど、楽しくての発言は訂正しなくても平気? 平気。あっ、そう。
「俺をゴッコルさんから助けられなかったこと、後悔してるのか?」
「う゛ん゛……っ」
「諦めろと、他人の不幸大好き女のコイノボリに言われたんだろう?」
「言われたっ……でも、ボクは君を助けたくてっ……助けようとしてっ……」
「コイノボリに幾ら貰って諦めた?」
「五百万っ……」
クソが。仲間の命を五百万で諦める悪女が。
此処までのやりとりで此奴がヒロインに見えたかも知れないが、そうではない。此奴は金によって平気で人を売るし、裏切るクソ女だ。何時か魔族側のスパイになると俺はワフゥを疑っている。
だが、此奴は仲間内でも軍師と呼ばれていたほど有能で頭がキレる。犯罪行為に対する度胸もあるし、転移者を殺すことに一切の躊躇がない。金で裏切るが、金がある限り、此奴は裏切らないというシンプルさもワフゥの便利さを表している。あと、単純に俺の性癖ドストライクってのも加点ポイントだ。目の保養になる。
学園に入学するに辺り、ワフゥは是非とも仲間に欲しい人材である。
俺は、ワフゥの手をそっと握り、クソ眼鏡女ことミュカバ氏に渡すはずだった金貨を忍び込ませる。
「ワフゥ」
「………」
ワフゥはそっと手に握る硬貨を覗き見て、
「……ポショポチョ氏ッ……」
金貨だと言うことが分かると涙を流す。
「もう一度、俺と組もう。学園生活を二人で盛り上げよう………五対五の割合で山分けだ」
「…………」
ワフゥは、割合に対して涙を流しながら神妙な顔付きで数秒間考える。
「………ボクも、ポショポチョ氏と一緒にもう一度組みたいッ!!」
契約成立だ。
納得したワフゥは、俺をガシッと抱き締める。此奴の惜しいところは貧乳なところだ。でもそれ以外は完璧だから好き。俺はガシッとワフゥを抱き締め返す。
「ワフゥ軍師……っ!!」
「ポショポチョ氏……っ!!」
此処にもう一度、二人のコンビが結成された。
ぎゅっと抱き締め合い、ワフゥの柔らかさを感じる。逆にワフゥは金貨をコロコロと転がし、御満悦だ。
すっと、二人は手を離し、離れる。
「じゃ、そういうことで」
「うん」
必要最低限の会話をして、二人はそっと席に座る。
互いに涙は流れていない。
「……い、いや。えっ!? なんじゃ、そのドライな感じっ!? 今の熱い抱擁はなんだったんじゃっ!?」
あ? 俺は田舎のヤンキーのように、突然騒ぎ出した方を見る。
何故か知らないが、周りの生徒に滅茶苦茶注目されていた。
よく見ると、俺とワフゥの隣には鬼の亜人さんが座り、唖然と俺達を見ていた。
俺は言う。
あんだよ、うるせぇな。俺とワフゥの間に言葉なんて必要ねぇんだよ。必要なのは契約書類と金と友情だ。この三つが揃ってるかぎり、俺とワフゥは絶対的な信頼関係で結ばれてるの。だから、言葉なんていらない。なんなら署名だけでも良いと想ってる。でも、ワフゥ軍師は俺の好みにドストライクだから、一度は恋人になってみたいと想ってる。今はキープだけどね。ワフゥ軍師も、俺が億万長者なら恋人なるって言ってくれてるから。そういう信頼関係で俺達は結ばれてるの。だから、言葉とかいらねぇんだよ。素敵だろ、この関係。
「……いや、ドライな関係すぎるじゃろ……金でしか関係結んどらんぞ……人間不信になるわ……」
大体よ、気軽に話し掛けてくるけどお前は誰なんだよ? 人と会話するときは自己紹介からだろ、普通。
「むっ、確かに。わっちは鬼の亜人、オニニ・ニニニじゃ」
「俺の名前も大概言い辛いけど、お前には負けるわ」
「カッカッカっ! そうじゃの、わっちもそう思うっ! まぁ、なんにせよ、面白そうな男じゃの……おんし、名前は?」
「ポショポチョ・ポショポチョ」
「いや、おんしの名前も滅茶苦茶言い辛いなッ!?」
確かに。俺は素直に認めた。
鬼の亜人さんと言うことは、転移者のように強制的に入学させられたのではなく、純粋に勉強しに入学したタイプだ。真面目なのだろう、野心家なのだろう。甘ったるい奴はそう想うかも知れないが、俺は違う。
ワフゥ軍師らと同じクラスに居るって事は、此奴も此奴で相当にヤバいタイプの性格をしている事は間違いない。
他の奴等もそうだ。ENDクラスと呼ばれるクラスは全員で十二人。
“最低最悪の転移者達”であるメンバーが、俺とワフゥ軍師しかいないってのも気になる点だ。シスターの話では、全員が学園に入学している筈だが。まさか、別のクラスに? いや、俺やワフゥ軍師が最底辺クラスに居るのに、他の奴等が優良クラスに居る訳ない。
やはり、情報が足りなすぎる。
ワフゥ軍師に最初に頼む仕事はコレが良いだろうと、俺は横を見る。
「ポショ……ポチョ……氏……ッ」
ワフゥ軍師は腹から血を流して息絶える寸前になっていた。
「わ、ワフゥ軍師ィいぃいいぃいいッ!?」
俺は素早くワフゥ軍師を抱き抱える。一体何が、目を離した隙にワフゥ軍師に何があったんだ。
ワナワナと震える手で、ワフゥ軍師の腹の傷を押さえた。
「ぁぁ……」
「わ、ワフゥ軍師ッ!! ダメだ、死ぬには速過ぎるッ!!」
「ポショ、ポチョ氏……っ……やられた……っ……!」
「待っていろ、今すぐにヒールをかけてやるからなッ!!」
俺はバッと周りを見渡すが、転移者達は俺達の周りから素早く避難していた。誰も近付く様子はない。
「聞い、て……っ」
「大丈夫だッ……あぁ……ッ、大丈夫だぞ、ワフゥ軍師ッ……!!」
「……ポケッ、トっ……」
「ポケットッ、ポケットがなんだ、ワフゥ軍師ッ!!」
「ポケッ、ト、の中……ッ……」
「あぁ、あぁ、分かった、見てやるッ!!」
俺は焦る気持ちを落ち着けながら、ワフゥ軍師のポケットを漁る。
コツンと堅い物が手に当たった。何かが入っている。俺はその堅い物を握り締め、ワフゥ軍師のポケットから引き抜く。
「ソレ、をッ…ポショポチョ氏ッ……!」
ソレは、俺が賄賂として渡した金貨だった。
「こ、コレを? コレをなんだ、ワフゥ軍師ッ!!」
「……蘇生した、ボクに、渡し……ッ」
あぁ……
俺はワフゥ軍師の言いたいことを理解した。
転移者の死体は光の粒になって消える。これは周知の事実だが、以外と知られていないことがあるのだ。
それは、死亡時に持っていた所有物はどうなるのか? 答えは、死んだ場所に残る。転移者が、異世界という現実でMMOのPKみたいなことをするのはこれが理由でもあるのだ。
着ていた服だけは蘇生した時にそのままだが、剣や財布は死んだ場所に落としていく。
ワフゥ軍師はこう言いたいのだ。
金貨を蘇生した自分に渡してくれと。
馬鹿ッ……この大馬鹿ッ……この金貨はジュース二本くらいしか買えない硬貨なのにッ……自分の死よりジュース二本なのかッ……大馬鹿ッ……
「ポショ……ポチョ氏……」
ガクリと、ワフゥ軍師の手が落ちる。
「……ワフゥ軍師? ……おいッ!! ワフゥ軍師ッ!? ダメだ、いくなッ!! せめて死因を言えッ!! 俺が死んだら、この金貨はお前に渡らんぞッ!! ワフゥ軍師ッ……!!」
俺は必死にワフゥ軍師を抱えながら、周りを見渡す。
「誰か、誰か助けてくださいッ!! 誰か助けてくださいッ!! 誰か助けてくださいッ!!」
「セカチューだ、懐かしい」
「死体抱えながらあの演技が咄嗟に出来るってどうなの?」
「凄い根性してるよね」
クソが。周りの奴等は転移者の死に慣れすぎてやがる。
俺は光の粒になって消えていくワフゥ軍師を地面に投げ捨て、地面を蹴り飛ばす。
ワフゥ軍師は殺された。
恐らく、入学式という厳格な式で好き勝手に騒ぎすぎたんだ。うるさいと想われたのだろう。
「【ソードスキル:ブレイバー】」
「クソッタレェーーーーッ!!」
俺は片足を切り飛ばされ、会場に転げ落ちる。
近付いてくるイカれたクソ眼鏡女に向かって、手を向けて言う。
ま、待てッ!! 待ってくれッ!! 騒ぎすぎたから殺すってどうなの!? 其所まで厳しくしなくても良いんじゃない!? それやったら、私語だけで殺されるじゃねぇかッ!! お前もう、誰かを殺したいだけだろう、ミュカバ氏ッ!?
「入学式に堂々と不穏な取引を始め、剰え何かをやらかそうと企む。貴方に対しては私語だけで殺す程度が一番良いんですよ。ポショポチョさぁん」
や、やめろッ!! 俺を誰だと想ってやがるッ!? お、俺は王都の裏社会のボスだぞッ!? お、俺を殺してみろッ……何千という部下を使ってでもお前に復讐してやるからなァッ!? 分かったら俺を見逃すんだよ、クソッタレェーーッ!!
「王都の裏社会は私が綺麗に潰しておきました」
チ、チキショォオォオオッ!! チキショォオォオオッ!! スキルさえ、スキルさえ封印されていなければァッ!!
「セルみたいなこと言ってる……」
「スキル封印されてるの? 凄くないソレ?」
「彼奴、絶対にヤバい奴だろ」
い、嫌だッ!? 死にたく…
「【ソードスキル:斬鉄惨】」
俺はイカれたクソ眼鏡女に真っ二つにされて死んだ。
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