第十一話 器の問題

熱い。


痛みというより血の熱さを感じる。


あまりの熱さに俺は地面に倒れる。


「おい! 大丈夫か!?」


ガイコスが急いでこちらに向かって走ってくる。


大丈夫な訳ないだろ。


腕千切れてんだぞ。


そんな事を思いながら俺はゆっくりと意識を失った。






目を覚ますと、俺はベットで仰向けになっていた。


ベットの隣にはガイコスがいる。


「目を覚ましたか、ここは亜人の住処だから安心しろ」


こういう時って普通『大丈夫!?』とか『良かった!目を覚ましたのね!』とかの言葉なんだけど。


しかも美少女ではなく気味の悪いガイコツ。


また意識失ったフリして現実逃避しようかな。


「すまない、君には無理をさせてしまった。 できるだけ腕を治そうと思ったのだが…。 今の我々の力では…」


あ、俺右腕千切れてんのか。


俺は右腕がどうなったのか確認する。


やはり右腕は完全に失っており、血が出血していた部分は包帯でグルグル巻きにされている。


俺どうなるんだろ。


このまま死ぬのかな。


異世界転移したのに何一つロクな事できてないんだけど。


「本当に済まない。 まさかあんな事になるとは…」


こっからはガイコスの長い長い反省と何故腕が千切れたのかの説明だ。


俺の右腕が千切れた原因はどうやら『器』に問題があるらしい。


俺は本来勇者しか使えない技、『スターブレイク』を使ったのだが、あまりにも強


力すぎて一番力が集中した右腕が千切れたらしい。


簡単に言えば俺が最弱のゴブリンのくせに最強の技を使ったから体がぶっ壊れ


たらしい。


今気付いたが、俺は右腕だけではなく、他の部位の骨が折れてたり、皮膚がボロボ


ロになってる。


技が強い程、俺の体も壊れるって訳だ。


「1つだけ、君の腕を治す方法がある」


おいマジかよ。


普通日本だと義手かそのまま片腕生活だぞ。


そこが異世界の強い所だな。


「ここから北の方に不死鳥の谷という所がある。 そこに君と千切れた腕を持っていけば治るだろう」


不死鳥とかどっかで聞いたことある単語なんですけど。


ていうか俺も行くのそれ?


アイテムかなんか持ってきて治す系じゃないのか?


「片腕だけの君に申し訳ないのだが…。 不死鳥の谷に一緒に来てくれないか?」


………………。


まぁ仕方ないよな。


腕を治すには行かなきゃいけないもんな。


正直嫌だけど行くか。


待てよ。


俺の腕はどうしたんだ?


治すには必要なんだろ?


「あの、俺の右腕はどうしたんですか?」


俺はガイコスに聞いてみた。


「あぁ、君の右腕ならあそこの置いてあるよ」


そう言ってガイコスが指を指した先は、タンスの上に置いてあるグルグル巻きにされ


た俺の右腕だった。


雑。


タンスの上に人の右腕置くとかお前失礼だろ。


やっぱガイコツと冒険とか嫌だな~。


今更だけど嫌だな~。


そんな事を思ってると。


「片腕の君と私だけでは不安だろう。 ミル、出て来い」


そう言って扉から出てきた人物は、紫色の髪の毛で、胸がまぁまぁデカく、超美人


でナイスバディな美少女だった。


ヤベっ。


超可愛い。

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