第九話 隠された能力
勇樹は驚いた。
まさか自分が違う世界から来た住人だとわかってくれる人がいるとは思わなかった。
「どうして分かったんですか?」
勇樹はモンスターに聞く。
「私は『完全調査』というスキルを持っていてね。
相手の出身地や弱点、年齢などすべてが分かるスキルなんだ。
最初に君がここに来た時、私はこのスキルで君を調べたんだ。
ステータスやスキルなどは特にこれといったものが無かったが、
出身地だけが聞いたことない所でね。
『にほん』という所が君の出身地なのかい?」
「は、はい。 なんで俺は助けられたんですか?」
「これを見てほしい」
そう言うと、モンスターはウィンドウを出現させ、勇樹に見せる。
「これは君のスキル表だ」
「あの…スキル表って何ですか?」
「スキル表というのはこれから覚えるスキルが書いてある表だ。これは『完全調査』を使った時に調べた君のスキル表だ」
表には約100種類以上のスキルが書かれている。
しかし、スキル表にかかれているスキルは『ゴブリンパンチ』や『ゴブリンキック』などどれも弱そうなものばかりだ。
「ここを見てくれ」
そう言うと、モンスターはあるスキルに指をさす。
そのスキルの名は『ディバインスラッシュ』という名のスキルだった。
「このスキルは本来勇者しか覚えられないスキルなんだが、なぜか君のスキル表には入っている。最弱のゴブリンの君がだ」
他のスキルもよく見ると、『フレアアタック』や『アクアブレス』など強そうなスキルが
勇樹のスキル表に載っていた。
「君には隠された才能がある。 そこで君にはここを守ってもらいたい」
「どういう事ですか?」
勇樹はモンスターに質問をする。
「君も聞いたと思うが10日後にあの王国兵士たちがやってくる。私は返り討ちにしたいのだが、あまりに戦力が足りない。かと言って逃げようとしても
逃げる場所も無いしすぐに王国の兵士達が見つけるだろう」
そう言うとモンスターは指をさし、話を続ける。
「そこでだ。 君に手伝ってほしい」
「え…。でも俺まだレベル低くて、雑魚ですよ? 俺なんか戦力にならないと思いますけど…」
「確かに今の君は弱い。 だが、君の努力次第で君の今の力は何倍にもできる」
「本当ですか…?」
「あぁ。 道はとんでもなく険しいがな」
勇樹は驚いた。
まさか自分にこんな能力が隠されていたとは思いもしなかった。
一番驚いたのは自分を必要としてくれる人がいたことだ。
こんな最弱な自分に手を差し伸べてくれる人がいるとは思わなかった。
王国の兵士達を倒すことで自分の罪が少しでも償えるなら是非協力したい。
勇樹はそう思った。
「手伝ってくれるか?」
勇樹の答えはもちろん。
「はい!」
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