第六話 きっとうまくいく

「よし! それじゃあ次のフロアに進もう!」


ユウキが仲間たちに言う。


「ええ!」


「ああ!」


「おう!」


3人が同時に相槌を打ち、声が重なる。


「おいおい…。 マジかよ…。 なんか、色々起こりすぎて気持ち悪くなってきた…」


勇樹は口に手を抑えながら呟く。


「ぐぅぅ~」


勇樹のおなかが鳴る。


「そういえば、異世界に来てからなにも飲食してないな…。 食べ物探さ

 なきゃ…」


そういうと勇樹は気味の悪い光景を後にし、食べ物を求めて歩き出す。


しばらく食べ物を探していると、少し大きな湖が見つかった。


その湖は綺麗に透き通っており、数匹魚が泳いでいる。


湖の中央には薄暗い月の光が差し込んでいる。


「あぁ、もう夜なのか…」


勇樹は今の時間帯を把握する。


勇樹は自分の持っている短刀で湖の魚を捕らえ、そのまま食べる。


「あ! お腹が減りすぎてつい生で食べちゃった…。 どうしようどうしよう! どうにかして吐き出せないかな!?」


勇樹が困っていると、突然目の前に【ヘルプ】が出現する。


そこにはこう書かれていた。


『ゴブリンには食べたものを完全に消化し、毒も消化してしまう【完全消化】という能力を持っています。 これはゴブリン特有の能力です』


「え!? なにこれめっちゃ便利やん。 ゴブリンって戦いだと雑魚だけどこういう日常面では最強じゃん。てことは、生で魚を食べても大丈夫って訳だ!」


勇樹は安心すると、湖の魚を捕っては食い、捕っては食いを繰り返す。


「はぁ~。よく食べたぜ!」


勇樹はお腹をポンポンと叩く。


「それにしても、この世界が俺のセーブデータとはな…。 あ、でもあのもう一人の俺にあのまま冒険させて、世界救ってもらえれば呪いが解けて一件落着じゃね?」


すると、目の前に【注意事項】というウィンドウが出る。


『あなた様以外の者が世界を救うとゲームオーバーになり、その呪いは一生解くことができなくなります』


「え…。 マジかよ…。 ていうか大体能力と見た目がゴブリンの時点でもう無理ゲーなんよな~。まぁ、でも頑張るしかないよな」


そして、勇樹は仰向けになり腕を枕代わりにする。


「しかし、今日は本当に散々だったな…。 これからの事はまた明日考えよう。 色々大変かもしれないけど、俺ならきっとうまくやっていける! 現実世界ではあれだったけど、異世界ならきっと!」


勇樹は自分に自信を持つ。


そして、勇樹は深い眠りに落ちた。




翌朝。


勇樹は目を覚ますと、牢獄に閉じ込められていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る