第10話 相談と結果と可愛い生き物
「
「お~、きたきた~」
放課後になり部活前に俺は、凪に指定された部室棟の裏に来た。一足先に凪が到着しており、フリフリと右手を小さく振ってきた。何度でも言おう、どうして凪はこんなにも可愛いんだろうか。
「それで、早速本題なんだけど。
これから部活ということもあり、凪とのんびり話していたい気持ちをグッッッッと抑えて俺は話を切り出そうとした。
すると凪は話の途中で食い気味に、俺の話に待ったを掛けた。
「そのことなんだけどね、私も
「ん?どうした?」
凪が話を遮ってまで俺に聞きたいこととは一体なんだろうか。とても気になり、やや前のめりになった。
そして凪は口を開く。
「
「え、あるけど、どうして…」
「私がどれくらい森文のこと見てきたと思ってるの?何となく分かっちゃうもんなのよ。さしずめ、桜里ちゃんが小森くんに気があるのかって聞きたかったんでしょ?」
どうしようこの
「よくわかったね。流石は凪だわ」
「もっと褒めて」
「はいはい、凪は凄い凄い」
「えへへへヘへ」
もっと褒めろとねだる凪の姿は、まるでご褒美を待つ子犬のようだった。なんなんですか、この可愛い生き物。萌え殺す気ですか?
「それで結果はどうだったの?松雲さんから聞けたんでしょ?」
なんとか元の話に戻そうと「コホン」と咳払いしさっきまでの状態を打ち消した。名残惜しかったが、時間が迫っているため仕方ない。
「うん、聞けたよ~、結果はね~」
「結果は………?」
妙に勿体ぶるように言葉を溜める凪。それにソワソワと待つ俺。おあずけってこういう感覚なのだろうか、すっごく不思議な気分だ。
「小森くん次第だってさー」
「なんだそりゃ」
「小森くんが何かしらアプローチしてこないのなら私も動かない、って桜里ちゃん言ってた」
「なるほどなぁ…」
確かに松雲さんの言い分には一理ある。やはり大地を揺さぶっていくしかないか。
部室棟裏からでも見える大きな時計塔を見ると、練習の始まる時間が迫っていた。俺は慌ててグラウンドに向かう準備を始めながら凪に向向かって話しかけた。
「ありがとう、助かったよ。後でなんか奢るね」
「え、本当?やった~、ハーゲンダッツラッキ~!」
「ちょっと待って、何でよりによってハーゲンダッツ!?」
「ダメなの?」
「上目遣いは狡いって!ダメ!爽かスーパーカップで我慢して!」
「ケチー!」
「ちゃんと解決したらハーゲンダッツでもパルムでも奢ってやるからさ!そんじゃ練習行ってくる。凪は気をつけて帰れよー」
準備が出来たのでそのまま俺は走ってグラウンドに向かった。
大地の気持ちか。野球筋肉バカのアイツに自覚させるのは大変そうだなぁ。
でも、やっぱり知ってしまった以上はほっとけないよね!!
ところで、アイスの話の時の凪が可愛すぎて脳裏から離れないんですけどどうしたらいいんだろうこれ。
両想いだと思っていた幼馴染に告白したら呆気なくフラれたけど俺は諦めない。 こばや @588skb
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