第7話 無自覚の恋模様
「
2時限目が終わり、俺は大地の腕を掴み一緒に教室を出て男子トイレまで誘導した。教室ではあまり話したくない内容の相談をする為だ。
男子トイレに入ると、困惑した表情のまま大地は言葉を発した。
「なんだなんだ?連れションか?俺今から
「ちょっと待て。
「
大地は「おまえは何を言っているんだ?」と言った風にキョトンとした表情をしていた。どうしよう、グーで殴ってやりたい。
「あのなぁ大地…お前松雲さんに頼りすぎじゃない?」
俺は常々思ってたことを大地に行ってみることにした。幼馴染だから。簡単に言えるだろうけれどもそれにしても度が過ぎていると俺は思った。
すると口を開く大地。
「うーん……分かってはいるんだけど桜里に甘えちゃうんだよなぁ……俺が勉強苦手なのもさ、体がすぐに動いちゃうのも桜里なら分かってるしさ」
なるほどな。確かに勉強しやすい環境っていうのは人それぞれだし大地にとっては桜里さんとやるのが心地よいのだろう。
更に大地は続けた。
「それにさ、桜里が近くにいると妙にリラックス出来てさ、それでいて普段よりも集中出来るんだよ。不思議じゃね?」
「それはなんかわかる気がする、凪といる時は力が漲るし」
「そうだよなーー!やっぱ幼馴染って凄いな」
「ん?」
ここで少し疑問を抱いた。もしかして、大地は自覚してないのか?大地がこの前、松雲さんとは離れたくないって言ってたし“そういうこと”なのは間違いない。お節介かもしれないが、察してしまった以上はできる限り助けになりたい。
「……い?おーい!フミ?どした?」
ふと目に飛び込んできたのは俺の顔を覗き込み心配そうにする大地。どうやら考えるのに集中しすぎてボーッとしていたみたいだ。
「ごめん、どうした?」
「どうしたじゃないぜ、心配したわ。急に黙りこんじゃってさ。てかそろそろ休み時間終わるし2組の教室戻ろうぜ?」
そう言って大地は男子トイレのドアに手をかけた。
「そうだな、ごめんな時間使わしちゃって」
「それはいいんだけどね~、フミが連れション誘うなんて滅多にないし。てかなんか話しあったんじゃないの?」
「あ………」
大地のことに気が行ってしまい自分の相談するのを疎かになってしまっていた。
「な、なんか分からないけどごめんな……次の休み時間にでも聞くからさ」
そう言って俺の肩をポンと叩いた大地は、一足先に男子トイレを出て2組の教室へと向かった。それに少し遅れて俺も教室に向かうことにした。
歩きながら俺は考えていた。さっきの大地の件をどうするかと。もし仮に自覚させることが出来たとしても松雲さんの気持ちが大地に傾いてなければ、意味が無い。
「せめて、松雲さんから聞き出せればなぁ…」
気がついたらボソリと呟いていた。ひやっとしたが、おそらく誰も聞いていないだろうと自分に言い聞かせていると。
「それじゃ私が桜里ちゃんに聞いてこようか?何のことか分からないけど」
「え、なんでいるの!?」
気がつくと隣で幼馴染の
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