第2話 え?

※1話の続きのため1話から見てください


俺は勇気を振り絞ってさぁちゃんに声をかける「あの…」すると、「今、お伺いします」と店員が反応してしまった。何故だ、何故なんだ。普通の同学年の女の子にはいつも通り声をかけられるのにさぁちゃんってなると顔も上げられない。お陰様で店員が来ちゃったじゃないか…。そう落ち込んでいると


「隣のイケメンは違うかな…」

何かさぁちゃんが独り言を言ったような気がした矢先、突然さぁちゃんが俺の肩を掴んで「あの!私アイドルやってるんですけど握手会とかほんとに無理で、でも誰にもそんなこと言えなくて。もうどうしたらいいかわからないよー!」と勢い余って泣いてしまうくらい大声で俺に向かって話しかけてきた。

たまたま店員も裏に行ってしまい、夜も遅くて気づけば自分とさぁちゃん以外の客もいなくなってしまったために注目されることはなかったものの、どうしていいか分からなくなってしまい俺は固まった。


「まず、顔を上げてください。1回涙拭いて。ほらハンカチ使っていいからさ。」と、とりあえずさぁちゃんにハンカチを貸す。さぁちゃんが俺のハンカチで涙を拭いながら、「いきなり話しかけたり泣いたりしてすみませんでした。今の忘れてください。ハンカチありがとうございました。では…」と、この場を去ろうとしたが気づけば俺は彼女の腕を掴んで止めていた。咄嗟に腕を掴み止めてしまい、なんて言ったらいいのか分からなくなったが「今の流れで忘れられるわけないですよ。とりあえず話聞きましょうか?」と引き止めることが出来た。


さぁちゃんが泣き止んで落ち着き始めたタイミングで残酷にも店員が「そろそろ閉店のお時間となりますのでお会計をお願いします」

と2人に退店するように唆す。2人で店を後にしてとぼとぼと最寄りの駅まで歩いていくとさぁちゃんが「そういえば私の名前言ってませんでしたよね。私は本橋紗綾です。高校2年、登坂36の4期生です。」とわざわざ可愛く自己紹介してくれた。俺もその後すぐに「俺、西川大輝って言います。俺も高2です。出来ればこれを機にLINE交換しませんか?」なんて、アイドルに連絡先交換をしようとしていた。ものすごく図々しいことだと分かっていたが「もちろんいいですよ!」と言われさぁちゃんとあっさりLINE交換できてしまった。


さぁちゃんの乗る電車は反対行きだったため笑顔で手を振りながら車両に乗ってくさぁちゃんを見送るスペシャルイベントまで終えて人生初の怒涛の握手会の日を終えることとなった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る