第11話 なんでいるんだ?

「お〜れはじ〜ゆう〜 お〜れはモ〜テる〜」

「お、おい⁉︎ 恥ずかしいから道端で歌うんじゃねぇ!」

「これからは俺の真実の恋の始まりだ!あぁ!神様ありがとう!」

「はぁ〜………」


俺は溜息をつきながら思ってしまった。

こいつ絶対振られるなぁと。

そしてなぜか俺も乗り気にならない。雷太が白百合の告白するのを黙って手伝っている。それが何故か心の奥がモヤモヤする。


「お〜れはじ〜ゆう………」

「おい💢!お前そろそろ………」


俺は拳を突き立てた。


「わ、悪い悪い。そんな怒らなくても………」

「は・ず・か・し・いんだよ!」


さっきから周りの女子高生やおばさん達が、こっちを見てはクスクス笑っている。これじゃあ俺も同罪になっちまうじゃねえか。


「ははは。わかった。わかったから……… その拳をね?羽田君」

「こいつはほんとに………」


「わかってんのか💢」という言葉を喉の奥に飲み込んで、カフェに行く道を歩いていった。


■◆◇


「何名様でしょうか?」

「2名でお願いします」

「かしこまりました」


広々とした静かなカフェ。ここで俺は心安らぐひとときを………


「って、なんでよりにもよってこんな騒がしいカフェなんだよ!?」

「いいじゃねえか。それより、さっきの人。胸大きくね?」

「ば、バカ!お前はどこに目をつけてるんだ!?」


俺は内心呆れながら、空いてる席に座った。ここのカフェは何かとうるさい。もっと静かな場所に行きたかった。どうせ雷太の狙いは、あんな感じの店員だろうけど………


「失恋ってのはやっぱ辛いなぁ。早く彼女が欲しいぜ!」

「やっぱ俺にはお前の感情論が理解できねえよ………」


俺は考えた。そう易々と女子に告ってもいいものなのか?

仮に。仮に俺が女子に告るとしたら……… 念入りに計画を練ってから、その人だけを目指すと思うんだけど。

俺の脳みその中には、真っ先に白百合が浮かんでくる。


すると、突然雷太が囁き出した。


「白百合さんだ………」

「べ、別に白百合のことなんか考えてねえよ!」


俺は雷太の言葉に驚いて、立ち上がって叫んだ。


「お前何言ってんだ?そうじゃなくて……… あそこ!」

「へ?」


よかったぁ~ 一瞬、心を読まれたのかもと思ってめちゃくちゃ焦ったじゃねえか。


それより。雷太が指さした先には………

花柄の服に白のスカート。整った顔にツヤツヤの髪。美少女オーラを出しまくっている、白百合鈴華が座っていた。



【お知らせ】

第二章、まだまだ始まったばかりです。皆さん、ぜひ応援や評価をお願いします。


ただいま少し忙しいので、次回の更新は3月27日になります。申し訳ございません。

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