第9話 俺ってなんか変かも………

「おーい比呂?比呂?比呂!」

「は、はい⁉︎」


雷太の声ではっと我に帰った。


「何ビビってんだ?お前、今日の朝から変だぞ?」

「な、なんでもねえよ」


昨日の放課後のことを思い出していた。家庭教師って教えるだけだと思っていたんだけど……… まさか抱きつかれるとは。


「はは。お前も白百合さんの魅力にハマったか?」

「んなわけねぇだろ。俺が恋と無縁なのはお前も知ってるだろ?」

「お前は寂しい男だなぁ。そろそろ身を固めたらどうだ?」

「ふん。俺は女なんかに興味はねぇよ」


俺はそう言い張ったが、どこか胸に焦りを感じていた。


◾️◆◇


「おっはよ〜!羽田君!」

「お、おはよ〜」


元気な白百合が教室に入ってきた。今日は白のワンピースだ。教室に入った途端に男子の視線を奪っていく。


だ、だめだ……… 顔を見ないようにしないと。


どうしても顔を見ると、照れてしまう。昨日のことがあったから俺は気まずい。多分、向こうは何とも思ってないだろうけど。


「羽田君?」

「な、なんだ?」


白百合と目が合う。キラキラした目が俺の視界を奪っていく。


「昨日はありがとね!あのテスト。丸付け終わったらまた教えてね」

「お、おう………」


危ない。

俺は何意識してんだよ〜〜〜!


◾️◆◇


授業中………


「ちょっと羽田君。これ教えてほしいんだけど」

「これ。昨日のテストにあっただろ⁉︎」

「だから……… 私こんなの解けないよ」


泣きそうな目で俺を見てくる。


「え〜っとなぁ……… ここは………」


相変わらずの会話だが、なんと言っても教えている時が1番楽しい。そして白百合への意識も和らぐ。

最近ふつうに会話してると、白百合が眩しい。


「へぇ〜今日は教えてくれるんだ」

「ふん!たまたまだよ」

「相変わらず素直じゃないなぁ」

「うっせ〜」

「ふふふ」


一瞬。一瞬だが笑顔が可愛いと思ってしまった。


「お前は笑顔の方が可愛いな」


気づいたら口から変な言葉が飛び出していた。あれ?俺、何言ってんだ⁉︎


「え⁉︎ あ、ありがと………」

「い、いや。い、今のは………」

「ふふ。羽田君も優しいところあるね」

「そ、そうか?」


白百合のことを見てると、何か変なことを言ってしまいそうになる。このドキドキ💓はなんだろう?もしかして………


「羽田君。何かいいことあったの?」

「べ、別にねぇよ………」

「ふ〜ん」


まさか、な。


「あっ!ちなみに言っておくけど。お前の偏差値35だったからな?」

「え?え〜⁉︎」



【お知らせ】

ここで第1章は終了となります。次からは第2章に入り、また新しい物語が展開していきます。このひと段落した所まででも読んで、星評価や応援を下さると嬉しいです。星をもらえると励みになるので、ぜひお願いします。


次の更新は3月24日午前0時頃です。

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