第2話 俺は実は楽しいのかもしれない

「す、すごいね………」

「あ〜!やっぱ笑ってる!」

「い、いや。だって想像と全く違うから………」


答案用紙は見事な1。他はすべてバツが並んでいる。まさに見事だ。名前の下にも大きく[1]という数字が書かれている。こんなの初めて見た。


「こ、これは……… なんか頭の中真っ白になっちゃって」

「ようするに……… 君はバカなんだね?」

「しょ、初対面の女の子にそんなこと言う?」

「俺は嘘はつかないからね」

「羽田くんの意地悪〜」


あれ?俺、ふつうに白百合と話してるし。てかなんか楽しいんだけど。


◾️◆◇


「よぉ〜比呂!中々やるじゃねえか」

「何がだ?」

「何楽しそうに白百合鈴華と話してんだよ。くっそ〜 羨ましすぎる!」

「あほか?そんなんじゃねえよ」


こいつは何を勘違いしてんだか。


「喋った感じ。どうだ?」

「別に?普通にいい人だったが………」

「ドキドキ💓したかって聞いてるんだよ!あんな可愛くて優しそうな人と喋ったらドキドキするだろ!」

「俺はしてないぜ?」

「やっぱ比呂だな………」

「どういう意味だよ?」


確かに白百合さんはいい人だと思うけど。バカなんだよなぁ。いや。ほんとに調子が悪かっただけなのかもしれない。調子が悪くて1点になるかと言うと微妙なんだけど。


「進展期待してるぜ👍」

「うっせ〜よ」


◾️◆◇


数学の時間………


「はい!この問題を解いて下さい!時間は10分です。隣の人と話し合ってもいいですよ。ではスタート!」


数学の時間恒例の自称[先生の難問問題]だ。これの何が難しいのか。なぜ難問なのか全くわからない。


「ねえねえ羽田くん!羽田くん!」

「は、はい!な、何?」

「これ解けた?」


授業中にいきなり話しかけてきたのは、またも白百合だった。


「ま、まあ一応………」

「私わかんないんだよねぇ〜 教えてくんない?」

「え〜………」

「めっちゃ嫌そうな顔するね」

「ご名答。よくわかったな」

「羽田君は顔に出るからね」


俺ってそんなに顔に出るんだっけなぁ。


「俺のことよく見てくれてんだな?」

「べ、別にそういうわけじゃあ………」

「いや。素直に嬉しいよ😊」

「えへへ。そう?」


よくよく見ると、白百合の笑顔が眩しい。確かに顔は可愛いようだ。


「あ〜!今、私に見惚れてたっしょ?」

「そ、そんなことねえよ!な、何言ってんだか………」

「羽田君は素直じゃないなぁ」

「ほ、ほら!授業中なんだから!」

「ふふ。そうだね」


俺が見惚れてただなんて。口が滑っても言えない。


「でもね………」

「???」

「君のことを見てるのは、ほんとだよ❤️」

「………ん⁉︎」






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る