一章 【転校生はおバカさん?】

第1話 俺は実は天才でーす

「くっそーいいよなぁ〜比呂はあの子の隣で」

「別に俺そんなん望んでないぜ?」

「いいじゃねえかよ。俺だったらアピールしまくって、手出しちまうかもしんねえぜ?」

「お前は何言ってんだよ」

「比呂は相変わらず青春に興味ねえんだな」

「お前も相変わらず女好きだな」


雷太の女好きはまったく変わんない。顔もいいし、スポーツ万能。勉強もそこそこなのに女子にモテない。その理由は、ただたんにエロいだけなんだが。


「で?」

「で?って何なんだ?」

「だーかーらー……… 進展はあったのか?」


また……… こいつは何を言ってんだ。


「あるわけねえし興味ねえよ」

「はぁ〜 お前が羨ましいよ」

「……………」


かぁ。こんな俺でもあの子は喋ってくれるんだろうか?ふつうに友達にはなりたい。でももし。もし 俺とあの子が………


「あれ?羽田くん?今、妄想してました?」

「し、してねえよ」


俺は何考えてんだ。生まれてこの方恋愛なんてしたことねえしな。


「まあ、うまくやりな」

「そりゃあどうも」


◾️◆◇


「え〜……… これから抜き打ちテストをやる!」


「え〜⁉︎」

「聞いてねえよ!」

「いきなりなんてひどい!」


みんなの罵声が飛ぶ。


「いきなりだから抜き打ちなんだ。さあプリント配るから席について!」


みんなはぐちぐち言いながら席に座り始めた。


「おい比呂!抜き打ちテストだってよ?」

「そうだな………」

「いいよなぁ……… お前は賢いからよ」

「雷太がバカなだけじゃね?」

「おっ!言ったなこいつ〜」

『ははは〜』


「おい! 羽田!上原!静かにせんか!」

『は〜い!』


テストが始まった途端にシャーペンの音しかしなくなった。

問題の内容は数学。計算問題と図形問題が少々……… まあ。初歩的な問題だな。

こう見えて、自分で言うのもなんだが俺は平均よりは上だ。言ってしまえば俺はだいぶと上だ。

塾のテストでは全教科1位。偏差値も大体が70を超えるくらいだ。友達には「羽田ってバカだけど賢いからいいよなぁ」なんて言われる。失礼しちゃうぜ。賢い奴ほど影で努力してるっつうのによ。


それじゃあテストだから失礼するぜ?


◾️◆◇


「それじゃあテストを返していくぞ!」


まずは解答が配られていく。


「羽田くん?」

「は、はい?なんすか?」


いきなり喋りかけてきたのは、白百合だった。


「テストどうだった?」

「え?俺?」

「うん。なんか羽田君賢いって聞いたから」


誰だ?そんなことを言ってるやつは。


「だ、誰に聞いたのかな?」

「あそこのニコニコしてる人」


白百合の指先では雷太がピース✌️してこっちを見ていた。


「くっそ〜 あいつ。余計なこと言いやがって」

「テスト簡単だった?」

「うん。まあ簡単だったんじゃないかな?白百合さんは?」

「わ、私?い、いけたと思うよ」


あんなテスト。言っちゃあ悪いがそんなに難しくない。簡単な問題がずらりと並んでるだけだし。


「羽田!」

「は、はい!」

「お前は相変わらずの満点だな」

「そりゃあどうも」


答案用紙には丸がぎっしり並んでいる。そして名前の横には大きく[100点]と書かれている。


「へえ〜 羽田君ってほんとに賢いんだ〜」

「あ、ありがと………」


やっぱ女子に褒められると照れる。そして何故か意識してしまう。


「そういえば白百合さんもさっきテスト返してもらってたよね?見せてよ」

「わ、私?私は遠慮しとく………」

「いいじゃん。もったいぶらなくても」

「そ、そういうのじゃないから………」


これだけ容姿抜群の白百合さんなら満点。いや、あっても一問間違いくらいだろう。


「いいじゃん。お願い」

「………笑わないでね?」

「笑わないよ」

「じゃあ……… はい」


テストの答案用紙を見て驚いた。見事に1つしかなかった。




【お知らせ】

見てくださった方。ありがとうございます。できれば、2日に1回。早ければ1日1回。午前0時頃に更新しますので、評価お願いします。


【追加】

次回は3月16日午前0時2分更新です!

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