第3話 始まり(中編)
あの後なんだかんだあって王の望みを元の世界に戻れることを条件として聞き僕たちは無事2年で世界を救った。
世界を救ったことを報告しに城内に入り、王と謁見する。
「4人とも、よく世界を救ってくれた。この世界を代表して感謝する。」
王は椅子から立ち上がり、頭を下げる。そして
「約束通り、そなたらを元の世界に戻すが...、残念なことに3人分しか用意できなかった。」
申し訳なさそうに言う。
「そ、そんな…」
動揺する勇者。
「まじかよ…」
落胆する戦士。
「ど、どうする…?」
オロオロし始める魔法使い。
「本当に申し訳ない。」
そう言って王は頭を下げる。
しょうがない、ここは僕が一肌脱ぎますか
「あっ、お構いなく。僕は自力で帰れるので。」
僕がそう言うと、全員が石化したようにビタッと動きを止める。
とたんに静まる城内
「「「「えっ~~~~」」」」
僕の言葉に全員が驚く。
「オ、オホン。誠や、それは本当か?」
動揺を抑えるため、咳を1つし王は確認をしてくる。
なので
「はい、できます。王の頼みを聞いた半年くらい後から。」
僕は正直に答える。
「な、なぜそれを教えてくれなかった?」
僕の回答にさらに動揺が走ったのか声がものすごく震えている王。
「?王が元の世界に帰してくれると申されましたが、万が一に備えて習得してました。」
首を傾げながら僕は答える。万が一に備えるのは当たり前でしょ...
「だが、そなたの魔法で元の世界に本当に戻れるのか?」
転位について詳しくない王が訪ねてくる。
「はい。習得してから何度か元の世界には帰りましたよ。」
あっさりと答える僕。
「お、お前~。そういうことはちゃんといえよ。」
「そ、そうだよ。ちゃんといってよ~。」
「いやだって、みんな気づいてるもんだと思ってたし…」
「いや、気づかないよ普通。」
「だって僕、旅の途中とかに色々出してあげてたじゃない。ポテチとか…」
「そ、そういえば~。で、でも普通に買った芋を買って作ったと思うじゃない。誠君料理上手だし。」
勇者、戦士、魔法使いがわーわーと僕に対して文句を言ってくる。
「と、とにかく全員元の世界には帰れるのだな⁉」
疲れたように王が言う。
「「「そうみたいですね…」」」
3人とも疲れた返事をする。なぜ?
送還用の魔法陣が光る中
「此度のこと本当に感謝する。そなた達の未来が輝かしいことをこの世界から願っている。」
王の言葉を最後に3人は送還される。
それを確認した後、僕も転位する。
しかし、転位した場所は日本ではなかった。
おかしいな、転位座標はみんなと同じ教室にしたはずなのに…。
「やあ、柊 誠君。」
聞き覚えのない声が背後からした。
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