第154話 学園祭に向けて!

 翌日、大阪見物をする事もなく我が軽音部はそのまま帰路に着いた。


 こうなると、僕と衣織だけが夜の大阪城を見に行ったことを、申し訳なく感じてしまう。



 ——学園に帰ると学園長が出迎えてくれた。本来は公休なのだが、僕たちの結果を聞き、駆けつけてくれた。


 軽音フェスは他の部活の全国大会に比べると随分マイナーだ。それでも快挙だと言って喜んでくれたことが嬉しかった。



 ——部室に戻り寺田先生から総括があった。


「みんな本当にお疲れ様!」


『『お疲れ様でした』』


「優勝と準優勝、本当におめでとう。まあ、普段部室に顔を出していない私が言えた義理じゃ無いが、日々の努力の賜物だな」


「いえ、そんなことは……寺田先生が自由にやらせてくれているからだと思います」


「なんだ古谷、私をもち上げても成績は上がらんぞ?」


「そんなつもりじゃ……」


「でも、今のシステム考えたの寺田先生だもんね」


「それはな川瀬、私のような年増に若者の流行りは分からないから、委ねただけなんだよ」


「年増だなんて、とんでもない! とても27歳には見えないお美しさです」


「林お前留年な」


「ええっ!」


 寺田先生のことはよく分からないが、本当に人望がある。


「まあ、留年の2人のことは置いといて、次は学園祭だ。軽音フェスの結果を聞いて新入部員も増えるかもしれない、気を引き締めていけよ」


『『はい』』


「俺と林は、最後の学園祭だ……軽音フェスには出れなかったが『Air Ash』の存在感を見せつけてやるからな!」


「あれ? お前ら留年だよ? 来年もあるじゃん?」


「「そんなぁぁぁぁぁぁぁ」」


『全国高校生軽音フェス』は先輩2人の嘆きで幕を下ろした。




 ——僕たち『織りなす音』は時枝たっての希望で、駅前のファーストフード店で打上げ兼総括を行うこととなった。


「いやーマジで師匠半端なかった! あれはシビれた!」


「うん、音無くんがマジ神ってた」


「会場が凄いことになってたもんね」


「あの大阪女にデレデレしてなけりゃ、もっと良かったのにな」


「「「それな」」」


 え……僕そんなにデレデレしてたっけ……。


「なんでいつも兄貴は女に甘いんだ? 衣織さんももっと言ってやったほうがいいと思うよ」


「そうね……実はあの後も……」


 衣織が皆んなにあの後セッションしたことを話した。


「「「サイテー」」」


「師匠! 幾ら何でもそれは節操がなさすぎ!」


「私のおっぱいだけでは飽き足らず、大阪女のおっぱいまで」


 誤解を招く言い方……。


「たまに凛の湯上り見て欲情してるし」


「「「え、マジひくわ……」」」



 バンドの総括をする筈だったのに、僕のダメ出し会に変わってしまった。


 皆んなの話で僕のだらしなさが浮き彫りになった。


 結論として僕はもっと衣織に感謝しろという話で落ち着いた。


 衣織……こんな僕の彼女でいてくれて本当に感謝しています。



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