第118話 2人っきりの勉強会

 まずいことになった。


 学さんと佳織さんは仕事で、今日は帰りが遅くなるらしい。


 つまり本当に2人っきりだ。


 僕は勉強に集中できるだろうか。


「おまたせ」


 キャミソールにホットパンツだと!? 部屋着に着替えるとは言っていたが、勉強するには肌の露出多すぎませんか! まあ、夏だし普通っちゃ普通かもしれないけど……僕には強い刺激だ。


「部屋行こっか」


「……うん」


 妙にそわそわしてしまう。


 でも、ダメだ! 切り替えろ! 勉強だ!


「座って」


 相変わらず衣織の部屋はいい匂いだ。


「鳴は何がわからないの?」


 キスからその先への進み方です!


 ……とは言えなかった。


 僕は語学以外が全般的に苦手だ。小学校の頃は勉強する習慣そのものがなくギターばかり弾いていた。


 中学の頃は愛夏がテスト期間中、勉強を見てくれていた。


 実際問題、愛夏がいなかったらこの学園に入れていたかも怪しい。


 今更ながら愛夏への依存率が高かったんだと気付かされる。


 

 ——しかし……衣織は教え方が上手い。


 苦手科目もスラスラ理解できた。


 これなら追試を免れる事ができるだろう。


 衣織がいくつかパソコンで小テストをダウンロードしてくれたが、追試を乗り切るには十分な結果だった。


 追試対策はバッチリだ。


 今日の勝因は衣織が教えるのが上手かったことと、対面に座っていたことだ。


 少しさみしい気もしたが、衣織が隣に座っていたら、そのいい匂いで勉強が手につかないところだった。



「お疲れさま鳴、すごいじゃない」


「いや、衣織の教え方が上手いからだよ、分かりやすかった」


「これでバッチリね!」


「うんありがとう!」



 さて……目的は果たされた。


 そして一つ屋根の下で2人っきりの恋人同士。


 両親の帰りも遅いって分かっている。


 これは行くしかないだろう……今日を逃すと、こんなチャンスいつになるか分からない。


 まず、きっかけだ……このシチュエーションできっかけといえばやっぱり……。


「衣織……ご褒美は?」


 おねだりしてみた。


 衣織は赤面しているがある程度想定内だったのか驚いている様子はない。


「仕方ないわね……」


 衣織が僕の隣に座りなおした。


 そして僕は押し倒されながら衣織と熱い口づけを交わした。


 そしてこれは不可抗力だが……僕の手が衣織の胸に!


 だ……ダメだ……も……もう我慢が……次のステップについて色々調べてみたが結局分からなかった。もうぶっつけ本番だ!


 体勢を入れ替えて今度は僕が上になった。


「衣織……」


「鳴……」


 見つめ合う2人。


 2人の距離が少しずつ縮まる。



「衣織ただいま!」


 そしてノックもなしに佳織さんが入ってきた。


「「「あっ……」」」


 まただ、またこのパターンだ。


 つか、物音一つしなかった……この人絶対わざとだ。


「お、お邪魔だっだわね! ごゆっくり!」


 ごゆっくりなんて出来る筈ない。


 僕はもう一度、衣織とソフトなキスをして、悶々としながら家路に着いた。



 ————————


 【あとがき】


 佳織さん再び……どんまい鳴!


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