第91話 なんの羞恥プレイ
これはなんの羞恥プレイなのだろうか。
凛の転入手続きが済み、衣織と一緒に食事でもと母さんが誘ってくれた。
ていうか、衣織を誘う前には窪田家に連絡を入れ、佳織さんも合流する手筈となっていた。
ちょっと強引過ぎる気もするけど、それはいい。
問題は……。
問題は僕がまだルナのままってことだ。
ただでさえ女装で街を出歩くってのは恥ずかしいのに、なんで彼女の母親にまでその姿を晒されなければならないのだ……。
衣織は困惑気味だが、母さんと凛はノリノリだ。
凛の小悪魔的な性格は母さん譲りなのだろう。
そして待ち合わせ場所はいつもの場所。いつものショッピングモールだ。
僕は通行人の視線が気になって仕方ない。
「なんか久しぶりに双子って感じがするわね」
そりゃそうだよ母さん。同じ顔で同じ髪型なのだから。
「なんか、どこから見ても美人双子姉妹よね……」
衣織に褒めてもらえてもあんまり嬉しくない。
「そんなに恥ずかしがらないで、お姉ちゃん」
調子にのる凛。どうしてくれようか……まあ、どうもできないのだが。
——そうこうしている間に佳織さんが到着がした。
一瞬のうちに母さんとマシンガントークを展開し、お互いに近況を報告しあっていた。2人の勢いに僕たちはただ傍観するしかなかった。
「あれ、凛ちゃん久しぶり……って……どっちが凛ちゃん?」
「「ぐはっ」」
佳織さんの一言で、僕と凛はそれぞれ反対の意味でダメージを受けた。
凛にはいつもやられっぱなしだから、少しだけイイ気味だと思った。
「すみません佳織さん……鳴です……」
絶対隠しても無駄なので、潔く自らカミングアウトした。
「あら……鳴くん……」
流石の佳織さんも、娘の彼氏がこんな格好していたら引きますよね。
「いやーんなにそれ、めっちゃ可愛いじゃん」
頬をすりすりされた。
「どうしたのそれ? 自分でやったの? やってもらったの? 衣織にも教えてあげてよ」
母さんと全く一緒の反応だった。さすが親友。
……とりあえず、一安心だ。
何が一安心なんだと心の中で1人ノリ突っ込みした。
「なんか今日、人多くない?」
母さんの言う通り平日にしては人が多い気がする。
「あーあれよ、なんか楽器屋でイベントがあるみたいよ、ほら、何だっけ『世界一美しい旋律を奏でる、世界一美しいギタリスト』って言われている子」
な……なんだって……もしかしてアン・メイヤーが。
彼女がこの場に来ていると思っただけで、僕の胸の鼓動は激しいビートを刻んだ。
————————
【あとがき】
アン・メイヤーがこの場所に! 鳴は楽器屋のイベントに赴くのか!?
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