第82話 身体も顔も火照っていて

 僕のベッドに凛がいて、超至近距離に凛の顔がある。


 身体も顔も火照っていてボーッとする。


 やばい……この状況はやばい。


 朝からこんな状況……。




 もしかして……学校を休むまである。




「ピピピッ♪ ピピピッ♪」


「んー38度4分、普通に熱だな。今日は学校休め」


 僕は不覚にも体調を崩してしまった。衣織との次のステップが気になって、夜な夜なネットで情報収集していたのが原因だろう。寝不足続きで無理をしていた自覚もある。とっても恥ずかしい理由だ。


「学校電話しといてやろうか?」


 兄貴がネットで行為に及ぶ手順を調べてて体調不良になりました。とでも言うのか!?


 まさかね……。


「あれだろ? 夜な夜なネットでいかがわしいサイトを見てたんが原因だろ? 正直に話せばいいのか?」


 凛にバレてた……普通に恥ずかしい……。


「そんなわけないだろ! いいよ、ユッキーにメッセージ入れるから」


「ふーん、まあ分かった」


 ジト目で見られたが、大人しく引き下がってくれて助かった。


「まあ、お粥でも作ってやるよ。大人しく寝てろ」


「うん、ありがとう」


 凛に、キッチンを任せることに不安がないわけじゃないが、背に腹は変えられない。凛もアメリカで父さんと二人暮らしだったわけだし、昔とは違うだろ。



 ——それにしても熱なんて何年振りだろう。もしこんな時1人だったら、かなり不安だったんだろうな。


 凛がいてくれて本当に良かったと思った。


「ちょっ! 兄貴大変だ! 来てくれ!」


 高熱の兄を呼び出すほど大変な事態だと……僕は慌ててキッチンに向かった。




 鍋から見たことのない量の泡が吹きこぼれていた。


 僕は慌てて火を止めた。


「凛、何をやったんだ? つか何をやったらこうなるんだ?」


「いや、普通に米洗ってこの手順通りやってただけなんだけど……」


 スマホでレシピサイトを見ていたようだ。


 キッチンを見渡すと洗剤が半分近くも減っていた。


「なあ凛……もしかして……洗剤で米洗ったのか……」


「ああ! 綺麗に洗ったぞ! なかなかヌルヌルが取れなくてな! でも、火にかけたら大丈夫だろ!」


 ヌルヌルってなんだよ……つか、米を洗剤で洗うなんて、アニメのうっかり系ヒロインでもやらないぞ……。


「そ……そっか……」


「食事は僕がつくるよ……凛は大人しくしてて」


「うん……そうする」


 凛の気持ちだけ受け取って、結局朝食は凛の分含め僕が用意した。


 この後、熱を計ったら39度2分まで上がっていた。



 


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