第80話 だからと言って
『男の子だから仕方ないじゃない』その言葉に僕は救われた。
『それに私、彼女だしね』これはもう、続きのオッケーサインですよね。
でも……だからと言って、このノリで衣織に迫るのは流石にあからさますぎる。
僕の心に芽生えた新たな葛藤だ。
しかし世の中には『据え膳食わぬは男の恥』なる言葉もある。
もしかしてあの言葉は衣織の据え膳なのだろうか。
考えれば考えるほど意識してしまい、何もできなくなっていく。
つくづく僕は成長しない。
「ねえ、鳴のパパは、私たちのこと認めてくれているの?」
「うん、僕をアメリカに連れて行くと窪田がうるさいって言ってたから、きっと認めてるんだと思う」
「そっか」
衣織の表情がほころぶ。
母さんにも馴れ初めは話しているし、両家の両親公認と言ってもいい。外堀は完全に埋められている。あとは僕の勇気次第だ。
「ねえ、鳴はやっぱ……その……したいの?」
衣織から2度目のしたいのだ……もう選択肢は行為に及ぶことしかない。
「したい!」
僕は前のめりで答えた。
僕に気圧されたのか、衣織は頬をあからめ、目を丸くした。
「でも、今日はダメだよ? ママがいるし……」
「う……うん……それは」
流石にいつ部屋に飛び込んでくるかわからない佳織さんがいる時にする勇気はない。
「ねえ、来て」
衣織がベッドに座り手を広げる。今ダメと言ったのにこれはどう言うことだ!?
僕は言われるがままに衣織へ近付いた。すると衣織が僕を抱きしめ後方へ寝転がった。
寝転がった拍子にまた僕の顔はベストポジションに。ラッキースケベの神様は今日も健在だ。
「ねえ鳴」
僕を見下ろす衣織。そして僕はおっぱい越しに衣織を見上げる。
「今日は鳴からしてくれる?」
『鳴からしてくれる』だと……この状態からだと覆いかぶさるようなキスになる……なんて刺激的な!?
僕は目と目が合う位置まで移動した。
そして……ついに……。
僕から衣織にキスした。
……感無量だ。
やっと邪魔が入らず、僕からキスすることができた。
衣織に演出された感は否めないが、それも僕らしいと思った。
————————
【あとがき】
ついに自分からキスできました! やったね鳴!
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