第62話 止まないラッキースケベ

 寝苦しくて目が覚めた。そして僕は固まった。凛が僕に絡まるように抱きついて寝ていたからだ。先に断っておくが僕は妹萌えじゃない。仮に妹萌えだったとしても双子の僕たちの場合は少し事情が違う。


 だって……同じ顔なのだから。


 とにかくこの状況だ。


 凛のやつは兄の僕が言うのもなんだけど、出るところ出てて、引っ込むところ引っ込んでいるナイスバディーだ。


 お風呂上がりのシャンプーの匂い。


 ラフな部屋着の隙間から覗く胸の谷間。


 すべすべとした柔らかい肌の感触。


 触れ合う肌と肌の温もり。


 なんだろうこれ……妹じゃなければ、確実に襲ってる自信がある。まあ自信だけで実際には無理なのかもしれないが、この状況は非常に危険だ。


 僕の意思とは無関係に、やつが反応してしまうかもしれないからだ。


 家族だぞ! 実の妹だぞ! 耐えろ僕!


 


 つか、凛を起こせば全ての問題は解決する。


 でも……。


 捨てがたい……。



 僕も男の子だ。実の妹とは言え、この超ラッキースケベが嫌ってわけじゃない。


 しかし、これは究極の生殺しだ。


 相手が衣織なら、勇気を振り絞り次のステップに進むこともできる。


 でも、凛だ。


 実の妹だ。


 もし、誘惑にまけて胸でも触ろうものなら、性犯罪者にカテゴライズされてしまうに違いない。


 

「う……うん」


 凛がさらにぎゅーっと僕を抱きしめてきた。


 密着度がさらに増した。


 胸の感覚とかバッチリすぎる。


 しかも肩辺りがさっきよりもはだけていて、さらに悩ましい格好に……。


 くそう!


 どうすればいいんだ……。


 僕も寝たふりして寝返り打って触ってやろうか。


 ……ん……もしかして、ナイスアイデアじゃね?


 そうだ! 寝返りのドサクサで触ってやればいいんだ!


 僕は活路を見出した。


 そして意を決して寝返りを打った。後は手を胸に持っていけばミッションコンプリートだ。


 しかし……。


「おはよ兄貴」


「お……おはよう……凛……」


 今の寝返りで凛が目覚めてしまったようだ。しかも超至近距離でバッチリ目があった。


「なあ兄貴」


「うん」


「その手は何だ?」


 しまった!



 僕の手はすでに凛の胸の上にあった。



「ご……ごめ、わざとじゃないんだ!」


「ふーん、実の妹に欲情したんだ」


「ちが……ちがうぞ」


「じゃぁ早くその手を除けてもらえるかな?」


「は……はい」


 戦慄の朝だった。


 もし、こんな生活が続いたら、僕はどうなってしまうのか分からない。


 ちなみに物心ついてから、はじめて触ったおっぱいだった。





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