第41話 結衣さんとの約束

 朝目覚めると結衣さんからメッセージが入っていた。 


『例の約束覚えてる?』


 例の約束とはギターを教える約束だ。


『覚えてますよ』


 早速、結衣さんから返信が来た。


『今日いける?』


 今日は特に予定もない。


『行けますよ』


『ありがとう』


 結衣さんと、こんなやり取りをしてから身支度を整えた。


 そういえば結衣さん、衣織に事情を説明してくれたのだろうか。


 少し気になったが、とりあえず学校へ向かった。


「おはよう鳴」


「おはよう衣織」


 衣織を見ると、昨日のことを思い出して赤面してしまう。どうやら衣織も同じだったようで、今日の僕たちは言葉少なめに登校した。


 ——教室に着くと、愛夏が普通に挨拶を交わしてきた。昨日あんなことがあったのに何も変わっていなかった。僕と一定の距離を保ち、必要以上に関わらないスタイル。昨日のあれは一体なんだったんだろう。


 ——放課後。


 今日の練習はバッチリ上手くいった。日に日に衣織との呼吸もあい、より高度なプレイが可能になってきた。


 そして僕は結衣さんのバンドのプレイを見ていてあることに気がついた。


 結衣さんはギターボーカルだ。でもギターに気をとられてか、たまに歌が釣られている節がある。もしかしたら結衣さんはその辺をなんとか攻略したいのかもしれない。


 部活が終わり衣織と分かれたぐらいの時間に結衣さんからメッセージが届いた。


 駅前のファーストフード店で待ってるとのことだった。僕は結衣さんとの待ち合わせ場所に向かった。


 待ち合わせ場所に到着すると結衣さんは大きく手を振って迎えてくれた。


 結衣さんは可愛いので、地味に目立つ。


「結衣さん目立ちますよ。皆んなには内緒なんでしょ?」


「ああ、ごめんごめん。そうだったそうだった」


 結衣さんがテヘペロで応える。


 リアルで初めてテヘペロを見た。コレはヤバい。無駄にトキメイテしまう!


 僕たちは早速、結衣さんの家へ向かった。


 結衣さんの自宅は高級マンションだった。こんなところでお姉さんと二人暮らしって……どんだけ金持ちなんだろう。


「姉貴ただいま」


「おかえり」


「はじめまして、お……」


 出迎えてくれた結衣さんのお姉さんは下着姿だった。


 ……本当に巨乳だった。


「こら、ちゃんと服着ろよ」


「えーだって暑いんだもん」


「鳴は男なんだよ、恥ずかしくないのかよ!」


「だって弟みたいなもんでしょ、平気よ」


「鳴は平気じゃないよ! なあ鳴!」


 僕はフリーズしていた。


「な……鳴?」


 どうやら僕は、強すぎる刺激には対応できないようだ。



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