第30話 2人っきりでデートがしたい
衣織と付き合い始めてからしばらく経つが、僕はまだ衣織と2人っきりでデートしたことがない。告白の時もなんやかんやで皆んなと合流した。そろそろ2人っきりでデートしたい。2人っきりでイチャラブしたい。
今日の帰り道でデートに誘う、そう意気込んだのだが……。
誘うって思った瞬間から時間が早送りになる。早く切り出さないと今日誘えなくなる。
どうする……明日に持ち越すか……でも、衣織にも予定がある。時間をおけば週末の予定が抑えにくくなるかもしれない。
カムバック勇気。
「ね、ねえ鳴」
これはチャンス衣織からきっかけを作ってくれた。
「は、はい」
「今週の日曜なにしてる?」
何……これはまさか!?
「デートしたいです! 今週の日曜、衣織とデートしたいです!」
フライング気味だったがデートをアピールした。
「え」
いきなりのアプローチに戸惑いながらも頬を赤らめる衣織。
「うん、いいよ」
なに、この初々しさ。可愛い。
棚ぼた的に僕は、衣織とのデートにこぎつけた。
——しかし、その夜から僕の苦悩は始まった。
……デートプランが思いつかない。
デートって何をすればいいのだろうか。
待ち合わせして、ご飯を一緒に食べて、ショッピングして、映画?
ていうか、僕にそんな軍資金はあるのか?
どうしようどうしようどうしよう。
そうだ! こんな時こそネットの力で解決だ!
検索で『デート 定番』と調べるも、僕でも思いつくようなド定番のものしか出てこない。
どれもこれも高校生の僕にはきつい予算感だ。
これは誰かに相談するしか……。
デートの相談ができる相手って誰だ……ってそもそも僕にはユッキーしか友達はいない。そのユッキーも彼女がいるなんて浮いた話は聞いたことがない。
となると……結衣さん!?
そうだ、結衣さんなら衣織さんと同じ学年だしきっと好みも近いはずだ。
って、結衣さんに相談したら、また皆んなで乱入されて2人きりになれないかもしれない。
夜通しそんなことを考えて眠れぬ夜を過ごした僕だった。
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