第21話 恋愛相談
結局あれから何の進展もないままゴールデンウィークを迎えた。なんか春休みに逆戻りした気分だ。
折角の連休なのに落ち着かない気分のまま。時間だけが過ぎて行った。衣織さんには幾度となくメッセージは送った。会いたい旨も伝えた。
でも、何かと理由をつけて断られた。ここまであからさまだと、さすがの僕も避けられている事に気付く。
ヘタレな僕に嫌気がさしたんだとしても、このまま諦めたくはない。衣織さんから答えが聞きたい。
僕は悩んだ挙句、結衣さんに相談することにした。何とか衣織さんと会える糸口を掴みたい一心だった。
メッセージを送ると結衣さんは快く引き受けてくれて、街のショッピングモールで待ち合わせることとなった。
——休みの日に家を出るなんて、本当に久しぶりだ。
1人で出掛ける事なんて殆どなかった僕は、待ち合わせたはいいものの、迷わずにたどり着けるか少し不安だった。
僕の側には、物心ついた頃からいつも愛夏がいたからだ。
いかに彼女に頼りきりだったかが分かる。
——何とか待ち合わせスポットまで迷うことなくたどり着けた。思ったよりはポンコツではなかった。
だが完全に時間を読み誤った。待ち合わせの時間まで、まだ30分もある。
「鳴——」
結衣さんが手を振りながら駆け寄ってきた。
「こんにちは」
「おっすおす」
私服の結衣さんをはじめて見た。
パンツが見えそうなローライズデニムに、肩がシースルーになったニットセーターのコーデだった。エロカッコいい。
「なになに、見惚れてるのかね」
ぶっちゃけ見惚れていた。
「す……凄く可愛いです」
「ありがとう。鳴もカッコいいよ」
「ありがとうございます……って、結衣さん早くないですか?」
「うん、待ち合わせの前に、楽器屋行こうと思ってたんだよ」
「そうだったんですね」
「先に一緒に行く?」
そう言えば、ピックの補充と、弦交換が必要だった。
「行きます」
「よし! じゃ行こっか!」
「ゆっ……結衣さん!?」
なんと結衣さんが僕の腕にしがみついてきたのだ。華奢な身体なのに結構胸がある。相変わらずいい匂いだ。
「いいじゃん、いいじゃん、まだフリーでしょ?」
いきなりのスキンシップに驚いたが、胸の感触の誘惑に負けた僕はこのまま楽器屋に向かった。
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