第9話 最強の魔物

「ぐっ……。この数、尋常じゃない……!!」


個々のレベルも70~73と、高いし、火力もまあまあある。しかし、レベルがめっちゃ低い俺の一撃で殺せるぐらいの耐久力の低さが突破口となると思ってたが。


「かなり、厳しい……なっ!」


デビル・タイガーを俺だけでこれで10羽は倒した。他の二人も、何匹か倒している。


なのに、この数。ざっと50はいるだろう。コロシアム中に溢れているこの魔物を駆逐し、そのあとに親玉を討つのが目標だ。


「みんなの力があれば、こいつらなんて一瞬だ!バフをかけずとも倒せる!一撃を防がれずに倒すんだ!」


「「はい!!」」


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


「なら、あんたを見つけて、屠るまでよ!」


俺は守護騎士、イリス。今は魔王軍幹部クリスと会話をしている。彼の使う遠く離れたところからでも話かけることができるのはおそらく魔法……。もしくは、特別な道具を使っているのだろう。


「ククク……。面白いですねぇ。あなたの実力は図り知れています。なので、私が相手するまででもありません。私の代わりに、私の一番愛し、一番傍に置いている最強の魔物と、戦っていただきます。もし、勝てれば私が戦ってあげましょう。我が最強にして最凶の魔物、ドラゴン!召喚されよ!フォーアラードゥング・ドラゴーネ龍召喚!」


目の前の地面に紫色の魔法陣が浮かび上がる。この魔法陣はたしか、召喚魔法の類いと聞いたことがある。そして、やつの言っていたことがほんとなら……。この世界最凶最悪の魔物、龍族の原点。ドラゴンが出てくることになる。


「こいつは……ほんとにドラゴンだな。見掛け倒しってのはやめてもらいたいな。いずれ、戦ってみたいと思っていたので光栄だ」


今、目の前にしているのはたくましい2つの角が頭にあり、左右に生えている爪のある翼。顎が強そうな大きさ。そして、目の色は赤く、棘が複数に一定の感覚で着いている尻尾。紛れもないドラゴンだ。



「そうですか、そうですか。それでは、楽しんでください」


ドラゴンの口に赤色の魔法陣が出てくる。その色はたしか、火属性の魔法の類いだ。おそらく火炎でも吐いてくるはず。


「火炎攻撃って、魔法と同じ類いに含まれるんだな……。だったら、スキル!!マジック・シールド魔法の盾!」


俺の右手に持ってる大盾に緑色の魔法陣が出現する。そのあと、金色の光を放ちながら、大盾を包み込む。これで、魔法による攻撃のダメージは80%までカットされる。



「完全無効ってわけではないが。使わないよりは、マシだろう」


予想通り、俺の構えている大盾目掛けてドラゴンの口から炎の柱とも呼べるとてつもない威力を感じる攻撃が走った。


「熱いな……。やけどでもしてしまいそうだっ!」


歯を食いしばりながら、炎を大盾で防いだあと、火の粉を左手の槍で振り払う。


「ほう。そんな戦い方がありましたか。さすがは、守護騎士という職業に就いてるだけありますね。攻撃による耐性は完璧、というところでしょうか。ならば、これでどうです?」


クリスがドラゴンに向かってなにかを話かけている。それが終わったと思ったら、ドラゴンが一気に急降下してきて、足の爪による二段攻撃を繰り出してきた。


「あっぶな」


俺は咄嗟の判断で、ドラゴンによる左右の足の爪の二段攻撃を大盾で防いだ。


「これも防ぎきりますか。そこまでダメージは負ってないようですね。攻撃に出ないのは、何故なんです?ウッ!?」


クリスは最後、変な呻くような声を出した。そのあと、クリスからのなにかを使用して話かけていたのが、なくなった。


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