第8話 暴走の秘密②

そういえば、なんで俺のスキルは暴走してしまったのか、この世界をある程度熟知しているであろうサナに聞く。その理由というのは、


「そうだね……。多分、さっき黒い服の長身の男性がコロシアムから出て行ったのを見たわ。その人、出てく時に私たちを見て笑ってた。あいつが呪いの類の魔法を使ったんだと思う」


「呪いの魔法!?なんで、そんなことを……。てか、呪いの魔法で暴走するなんてありえるのか」


「ありえるわ。その暴走は、相手の体力を1にするか、自分のMPがそのスキルの消費量が足りなくなるまで止められない。たしか魔法名は、マレディツィオーネ・ディゾルディネ混乱呪術


また何語かわからん魔法だ。なるほど、この世界の呪いには数多の類があるということか。これがわかっただけでも収穫はある。


「なるほど。じゃあ、サナさんが体力1になったことで俺の暴走が止まったってわけですね。そろそろ回復してるはずです。戻りましょう。サナさん、シーナさん」


「そうだね」


と、二人同時に言われた。なので俺たちは立ち上がろうとするサナさんの両肩を支えながら立ち上がる手助けをした。コロシアムから出ようとしたその時、目の前に、異形な生物がいた。


「うそ……。なんで、こんなところに『デビル・タイガー』が……」


サナさんが驚くところを見る限り、恐らく遠いところにいる凶悪な魔物なのだろう。デビル・タイガーという名にふさわしいかっこう。


つまりは、背中に翼を生やし、しっぽと翼は漆黒の色をしており、虎その者の体は、紫色をしていた。見た目的にはゲームの中盤辺りに出てきそうだ。勇者スキルの能力透視を使う。


「お、おい。なんだよこのステ……。レベル71!?おいおいおい。客席から悲鳴が聞こえたかと思ったら、上空からさらに1、2、3体と増えてくじゃん」


「これはかなりまずいことになったわ……。私を自由にさせて。体力は十分にシーナさんのおかげで回復したから」


サナさんは自信満々に笑顔でそう言って俺たちの腕を振り払う。


「俺も一緒に戦いますよ」


「ダメ。あなたの強さは当レベル以上というのはわかったけど、魔物は違う……。私はやつらより遥かに高いわけじゃない。けど、倒さないと」


サナさんは疲れてそうに、はあはあ言いながら足を少し震わせている。だから助太刀しようかと言ったのに。


「そ、そんなこと言われても俺たちだってやることが欲しいんだよ。このまま宿に行っても暇なだけだしな」


「そうよ、フミヤの言う通り」


「ありがとう、二人とも」


そうして、無理を言ってOKされたので協力する。一方、街の方では。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

「ここが、一人で。いや、二人か。二人で魔王軍幹部を倒した英雄がいる街か」


街の入ったところに、全身銀色の、槍を装備して大盾を装備してコテを装備して鎧を装備しているまるで、騎士のようなかっこうの人物がいた。その人の名は、守護騎士、イリス。


彼の知名度はそこそこ高く、近辺では『聖なる守護者』や、『銀の守護神』などと呼ばれている。


「情報をもっと得たいのだが。ん?コロシアムか?そっち方面がなにやら騒がしいな」


彼は街に入って早々厄介事に巻き込まれそうな予感がすると、不幸な自分にため息をついていた。そっちにいるかもしれないと判断した彼は、コロシアムに向かっていた。


向かっている途中、なにやら歪な高い声が響いた。


「これはこれは。お目にかかれて光栄です。守護騎士、イリス殿。あなたはいずれ、必ず勇者候補の一人のパーティーに入るだろうと、陛下は予想しておりますゆえ、あなたをここで抹殺させていただきます」


どこから聞こえてくるかわからなかった。しかし、彼はディスられていることには気づいていた。


「俺を誘うための、罠ってわけか。ってことは、ここに英雄がいる確率は0に等しいか?」


「ん?英雄とやらをお探しでしたかぁ!英雄は、この魔王軍幹部である私、クリスが召喚奉った数多のイビル・タイガーにて、抹殺中です」


魔王軍幹部というのを聞き、彼は背筋を氷らせた。またもや、この街に魔王軍幹部が来たことと、自信の探していた英雄が殺られそうになっているのではないかという不安からくるものだ。


「そうか、貴様がとして有名なクリスか。よもや、魔王軍幹部だとはな。俺が貴様を殺せば、召喚した魔物はいなくなるのか?」


「まあ、その通りです」

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