第一章 仲間を集めたい!
第1話 女神に会いました!
「行ってきまーす」
「気をつけてねー」
ドアを閉め、履く靴をひもで調整し、スクールカバンを背負って今日も元気に学校へ行く。
「よお、石上。今日もいい朝だな」
「うっす、竹田。快晴すぎて毎日徹夜の俺にとっちゃキツイぜ」
同級生で同じクラスのモテ男、竹田と何気ない会話をする。こいつは彼女持ちだからくそ羨ましい。
「んじゃ、彼女待ってっからよ。先行くからな。サボるんじゃねぇぞ」
ニコニコしながら彼は注意をする。俺は、ただ「おう」と返しただけだ。
「ほんっとに……。今日は久々のいい天気だなぁ。この天気になったってことは、それなりにいいことおきそうだけどな」
俺は独り言を言いながら登校する。
昼のチャイムが鳴る。
「石上くん!あの……。今日、一緒に昼、学食で食べませんか……?」
ぬあっ!?心の声が言葉になりそうだった。クラス一の美少女に声をかけられたのだ。しかも、一緒に食べようって。なんだよこれ、夢見たいじゃん。
「お、おう。俺は別にいいけどよ」
「ありがとう!」
彼女は俺を学食へ連れてく。手を引っ張られてるのだ。
「そんな急がなくたって、学食は逃げないぞ〜」
「いいからいいから!」
ったく……。しょうがねぇな。
「ここよ!あなたに来て欲しかったとこ!」
「体育館、倉庫??」
俺は頭を横にして謎だというしぐさをとる。
「ふふふ、実はあなたに話したいことがありまして」
突如口調が変わった。実は、「私は厨二病でした!」とか。「私……。石上くんのところにしか、見せられない性格があるの……」とか。「私ね!実は石上くんのことが大好き!」みたいな展開が王道なはず……だ。
不敵な笑みを浮かべる彼女に尋ねる。
「要件って、なんですか?」
すると、彼女は目を潤しながら俺に抱きついてくる。
「お願い……。世界を救って」
俺に見せてくるその上目遣いの表情は、見事に女神という言葉が相応しかった。
お腹にすごい衝撃を食らったかのような痛みを感じた。しかも、歪なグサッ。という音が鳴ったと同時にだ。
「な、なにを……」
そこまで言いかけたところで、俺の人生は膜を閉じた。
と、思いきや……。
「なんじゃここはぁああああ!!」
真緑に染まった異空間に居た。ここは、夢の中だろうかと一瞬迷ったが、綺麗な声のする感じからして現実のようだ。
「あなたは……。死んだのです」
突如告げれる、死を受け入れよと言わんばかりのセリフ。そのセリフの発生源が、後ろだと気づき、振り向く。そこには――。
とてつもなく立派な顔立ちをして、スタイルもよく、綺麗な太ももを露出させるミニスカート。
「私の名前は、女神兼、大天使のミカエルです」
「は、はぁ」
呆れ半分に俺は対応する。この人……。よく見るとほんとに美人だな。でも、俺を殺した彼女の面影もあるようにも見える。
「あ、あの……。あんまジロジロ見ないでいただけませんか?たかが、休日は友達とろくに遊ばず、引きこもりしてるあなたに見られたくないんですけど……」
「っ!?なぜ、そのことを……」
「決まってるでしょ!だって、私はあなたの……。いえ、なんでもありません」
取り乱した彼女もまた、いい。GJ。てか、俺が質問したせいで本題をすっかり忘れるとこだった。
「ここはどこなんですか?」
とりあえず冷静になって、本題に入ろうとしたその時、俺の目の前で謎の現象が起きていた。
白い光が風のようにうねり、上を貫かんとする。その下には魔法陣が描かれていた。
「グルント・ウルム・ソーイ」
何語だよ……。その時、彼女からこう告げられた。
「あなたに……救って欲しいのです。この世界を……。そして、私を」
私をってどういう意味なんだ?と、聞こうとしたが時すでに遅しというやつだ。俺はもう、あの変な風の中心というか……。それの生み出すワープ的類いの中にいた。
「あなたは、世界を救う英雄になるのです。頑張ってくださいね?」
下にいる彼女の微笑みだけが、唯一現実だと思えるものだっただろう。
目を瞑り、新たな人生を、思い描くのであった――。
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