第58話 それで良くなったなら
私は、クラーナに脇を舐められた。
他にも色々と舐められて、私はクラーナとベッドの上で向き合って座っている。
「ごめんね、アノン……色々と舐めてしまって……お風呂に入りたいわよね?」
「うん? 別に問題ないよ。クラーナの唾液だったら、全然平気だし……」
色々と舐められた結果、私の体は唾液塗れになっていた。
だが、私は別に構わなかった。クラーナの唾液なら、浴びていたいくらいである。
「……せめて、拭きましょう。そのままだと風邪を引くわ」
「別に、大丈夫だと思うけど……」
「そんなことはないわ。濡れているままにしていいことはないもの」
クラーナは、私にそのように言ってきた。
だが、私には話の内容より気になっていることがある。
それは、クラーナがとても元気になっていることだ。
ここまでの会話で、彼女は普通に話せている。辛そうにしていた先程までとは、まったく違うのだ。
「クラーナ、もう体調はいいの?」
「え? ああ、そういえば、治ったわね……」
「そっか、それなら、よかったよ」
どうやら、頭の痛みも気持ち悪さもなくなっていたようである。
色々とやっている内に、酔いも抜けていったのだろうか。
とにかく、彼女が元気になって本当によかった。これで、私も安心できる。
「さて、それじゃあ、洗面所に行きましょう」
「洗面所? ああ、タオルがあるから?」
「ええ、拭かせてもらうわ」
そこで、クラーナはゆっくりと立ち上がった。
本当に、もう元気なようだ。体も軽そうだし、顔色もいい。
その姿を見て、私は笑顔になる。彼女の元気な姿が、嬉しくて仕方ないのだ。
「あ、朝食もとらないといけないわね……というか、もう昼食になるのかしら?」
「そうだね。時間的には、そうなると思う」
「そうなのね……」
既に時間はお昼になっていた。
色々とやっている内に、時間が経ってしまったのだ。
朝起きるのが、少し遅かったのもあるかもしれない。昨日お酒を飲んだせいか、二人ともいつもより寝ていたのである。
「ごめんなさい。私のせいで、朝食抜きになって……」
「気にしていないよ。私も、食べないでいいと思ったから、クラーナの傍にいたんだし。まあ、でも、お腹は空いたかな?」
「……それなら、お昼は少し多めにしたほうがいいわね」
「うん、そうかもしれない」
私は、クラーナに続いて立ち上がった。
彼女も元気になって、やっと普通の生活が始められる。それは、本当に嬉しいことだ。
ラノアがいないのが少し寂しいが、それはあまり考えないことにしよう。
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