第15話 ずっと一緒に

 私とクラーナとラノアは、ガランの隠れ家から帰って来ていた。

 あれからも色々あって、結局帰るのは数日経ってからになってしまった。

 ただ、そのおかげで、色々と済ませることはできため、ある程度心の整理はすることができた。


「はあ……」

「ふう……」


 私とクラーナは、二人で夜のリビングにいる。

 今日は、久し振りに二人の時間を過ごすことにしたのだ。


 ラノアは、寝室で眠っている。

 申し訳ないが、眠るまで傍にいて、抜け出させてもらったのだ。


「……ここ最近、色々とあったね?」

「ええ、結構平和な時間が続いていたものね……」


 私とクラーナは、グラスを合わせて、乾杯する。

 最近は、本当に色々とあった。そのため、色々と考えた。


「……私、本当はずっと思っていたんだ」

「……何を?」

「悪いことをしていても、人から蔑まれていても、傍にいて欲しかったって……」


 私が思い出すのは、ガランのことだ。

 あの人は、私とお母さんに迷惑をかけないように、私達の元を去った。

 私にとって、それがあの人を一番許せなかった部分なのである。もちろん、悪人であったことも許せないことだが、一番はそこなのだ。


「……私は」

「え?」

「私は、アノンの傍から離れないわ。絶対に、あなたと一緒にいる」

「クラーナ……」


 そんな私を、クラーナは抱きしめてくれた。

 クラーナは、私の気持ちを本当にわかってくれる。ずっと一緒にいてくれる。その言葉が、何より嬉しい。


「アノンが、私を捨てたら、話しは別かもしれないけど……」

「そんなこと、すると思っているの?」

「まさか……」

「んっ……」


 クラーナは、私の唇を奪ってきた。

 私がクラーナを捨てることなど、絶対にあり得ないことである。

 だから、私達はずっと一緒にいるのだ。絶対に、離れることはない。それは、決まっていることなのだ。


「もちろん、ラノアも一緒だよね?」

「ええ、あの子は、私達の娘だもの……」


 そして、ラノアも一緒にいることは決まっている。

 ただ、ラノアに関しては大人になって、自分の道を決めたのなら、話は別かもしれない。ラノアの考えは、できるだけ尊重したいと思うので、その時は考えよう。


「さて……」

「あっ……」


 そこで、クラーナは私を押し倒してきた。

 私はベッドに寝転がり、クラーナがそこに覆いかぶさる。


「最近は、かなりご無沙汰だったわね……」

「まあ、ラノアもいるからね……」

「ええ、でも、二人の時間も大切よね」


 クラーナは、私の体を触ってくる。

 最近は、こういう時間がとれてなかったので、私も楽しみだ。


「一応、前々から決まった日にはなっていたけど……」

「それでも、時間が空きすぎたね……」


 私も、クラーナの体を触っていく。

 一応、前々からなんとなくそういう日を決めてするようになっていたので、間が空くのはある程度慣れている。

 だが、今回は色々あり過ぎて、間が空きすぎた。そのため、私もクラーナもお互いを、かなり求めている。


「そういえば、ラノアも妹が欲しいと言っていたわね?」

「あ、ああ……でも、それは少し難しいよね?」

「そうかしら、もしかしたら、奇跡が起きるかもしれないわよ?」

「奇跡?」


 そこで、クラーナがそんなことを言ってきた。

 奇跡とは、一体どういうことだろう。


「私達、犬の獣人には、犬神様という神様が伝えられているわ」

「犬神様……」

「その神様は、色々な願いを叶えてくれるらしいのよ」

「それは……まあ、希望……なのかな?」

「どうかしら?」


 クラーナから告げられたのは、犬神様という神様の話だった。

 どうやら、そういう伝説的な話だったようだ。


「まあ、いいわ」

「ん……」

「ん……」


 私とクラーナは、ゆっくりと唇を重ねる。

 どうやら、そろそろ本番であるらしい。

 私とクラーナの長い夜が始まるのだ。久し振りなので、色々と楽しみである。


 私達は、これからもずっと一緒だ。

 大切な人とのかけがいのない日々は続いていくのである。






 おしまい。

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