第4話 三人での生活
私とクラーナは、ラノアちゃんという獣人の女の子を保護していた。
母を失い、一人だったラノアちゃんは、私達にとても甘えてきた。
今は、三人でお風呂に入っている。
「温かいね……」
「うん……」
「ええ……」
ラノアちゃんは、私とクラーナの間で、気持ちよさそうにしていた。
流石に、三人で入るとお風呂が少し狭いが、それでも幸せな時間だ。
「私、こういうの久し振り……」
「こういうの?」
「誰かと一緒にお風呂に入るの」
「ああ……」
ラノアちゃんの言葉に、私は少し悲しい気持ちになってしまう。
少し前までは、ラノアちゃんもお母さんとこうしていたのだろう。そう考えると、どうもそんな考えになってしまうのだ。
ラノアちゃんの気持ちは、痛い程わかるものである。
なぜなら、私もお母さんが亡くなってしまった時、とても悲しくて、一人で泣いていたからだ。恐らく、ラノアちゃんも一緒だっただろう。
あの孤独は、何よりも辛く悲しいものだ。
「これからは、きっと大丈夫よ。ここでも、獣人の里でも、誰かがいるのは変わりないもの」
「う、うん……」
そこで、クラーナがラノアちゃんに励ましの言葉を送る。
クラーナも、ラノアちゃんと同じ気持ちを味わってきたはずだ。そのため、気持ちがわかるのだろう。
そんな風に、私達はお風呂で過ごすのだった。
◇◇◇
お風呂に入った後、私達は眠ることにした。
ここでも、三人で並んで寝ることにした。この家には、ベッドは一つしかないし、ラノアちゃんを一人にする訳にもいかないからである。
少し狭いが、寝られない程ではないため、特に問題はない。
「うっ……」
そこで、ラノアちゃんは迷っていた。
ラノアちゃんは、私達二人に挟まれている。私とクラーナは、お互い向き合っていればいいが、ラノアちゃんはどちらを向こうか迷っているのだ。
私達に気を遣っているのか、単純にどちらでもいいのかはわからないが、その様子はとても可愛らしく思える。
「ラノア、アノンの方を向きなさい」
「え?」
そんなラノアちゃんに、クラーナがそう声をかけた。
迷っているので、見かねて私の方にするように言ったのだ。
ここで、クラーナの方がいいと言うと話がややこしくなるので、私は何も言わないことにする。
「で、でも……」
「心配しなくても、私も後ろから引っ付くから、寂しくはないわよ」
「そ、それなら……」
クラーナの言葉に従って、ラノアちゃんがこちらを向いてきた。
さらに、私に体をくっつけてくる。
「クゥン……」
「ふふっ……」
「あはは……」
クラーナも、その後ろからラノアちゃんに引っ付いて、三人で固まることになった。
こうして、私達は三人で眠ることになるのだった。
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