after
第1話 新たなる出会い
私がクラーナと会ってから、かなりの時間が経っていた。
「おはよう、クラーナ」
「ええ、おはよう、アノン……ん」
「んっ……」
しかし、私達の毎日はそんなに変わっていなかった。
朝起きてキスをして、依頼に行って、クラーナとじゃれ合う。そんな毎日を繰り返し、今まで過ごしてきた。
ただ、この毎日が楽しいのだから、仕方ない。私とクラーナは、何年経ってもこうしている気がする。
という訳で、私達は今日も依頼に出かけるのだ。
◇◇◇
私とクラーナは、依頼を終えて、森の中を歩いていた。
今日も、魔物を対峙して、いつも通り帰るのだ。
「あら……?」
「クラーナ?」
そんな中、クラーナが声をあげた。
恐らく、何かを発見したのだろう。クラーナは、鼻がとても利くので、色々なことに気づくのだ。
「アノン、少し気になる匂いがするわ。犬の獣人の匂い……かしら?」
「隠れ里とは違うの?」
「ええ、あの匂いとは、全然違うわ」
どうやら、犬の獣人がどこかにいるらしい。
隠れ里の時も、そういう匂いがするらしいが、それとは違うようだ。
「とりあえず、行ってみようか?」
「ええ、そうしましょう」
私は、クラーナに案内してもらい、ゆっくりとその方向に近づいていく。
草木をかき分け、森の中を進む。
こういう所にいるというのは、あまりいいことだとは思えない。少し、心配だ。
「あっ……!」
「えっ……!」
そして、私とクラーナは声をあげた。
森の中に、横たわっている犬の獣人がいるのだ。しかも、子供である。これは、明らかにまずいだろう。
「クラーナ!」
「ええ!」
私とクラーナは、すぐにその女の子の元に駆け寄った。
とにかく、助けなければならない。そう思ったのだ。
「大丈夫!?」
「うっ……」
私の問い掛けに、子供は小さく声をあげる。
一応、意識はあるみたいだ。だが、いい状態という訳ではないだろう。
「お……」
「お?」
「お腹、空いた……」
「え?」
そう思った私に、女の子は私達にそんなことを言ってきた。
どうやら、お腹が空いているらしい。
もしかしたら、思っていたより、大丈夫だったりするのだろうか。
「お腹が……空いたの?」
「うん……」
「体は、大丈夫?」
「……疲れている」
私が質問を重ねると、女の子ははっきりと答えてくれる。
本当に、大丈夫そうだ。私は、少し安心する。
「……まあ、いいわ。とにかく、一度、家に連れて帰った方がいいわね」
「あ、うん。そうだね」
クラーナの言葉に、私は頷く。
とにかく、家に連れて行ってあげた方がいいだろう。
という訳で、私とクラーナは、女の子を家に連れて帰るのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます