第114話 秘密の打ち明け?
私とクラーナとサトラさんとリュウカさんのパーティは話をしていた。
本来は、ティネちゃんの秘密を打ち明ける場だったが、それより先にサトラさんとキーラさんの話となっていた。
「その、キーラ、ごめんね。急にいなくなったりして……」
「もうそんな話はいいですわ。理由は、大方察していますもの」
キーラさんは、サトラさんの隣に座り、その身を寄せている。
その愛は、相当深いようだ。
「でも、安心してください。私とあなたの道を邪魔する者達は、既に排除しましたわ」
「え?」
「ふふふ……」
キーラさんの言葉に、サトラさんは少し驚いていた。
二人の過去に、何があったかは大体知っている。サトラさんと仲良くするキーラさんが、人間に危害を加えられたため、二人は離れることになったのだ。
つまり、その者達をサトラさんは排除したのだろう。少々、物騒な気もするが、それも愛の力なのかもしれない。
「後は、サトラを探すだけだったので、これで私の目的は達成しましたわ」
「あ、うん……」
サトラさんは、驚きつつも、嬉しそうだった。
ずっと探していたパートナーが、自身のことを思ってくれていたのだ。とても嬉しいのだろう。
「なんか、すごいところ悪いんだが……」
「はい?」
「キーラって、獣人は駄目って言っていたよな……」
そこで、リュウカさんはキーラさんに話しかけた。
どうやら、獣人が駄目だとキーラさんは言っていたらしい。
それなのに、サトラさんが好きとは確かに少しおかしな気もする。
「ああ、あれはサトラのことを思い出して辛くなるから、駄目ということですわ。犬の獣人に対して、差別的な感情は持っていませんわ」
「そ、そうだったのか……」
その質問に、キーラさんはそう答えた。
別に、差別的な意識がある訳ではなく、サトラさんを思い出すから辛かっただけのようだ。
「それなら、ティネの秘密も大丈夫か……」
「ティネの秘密?」
「なあ、ティネ……」
「はい……」
そこで、やっと本題に戻った。
今日は、ティネちゃんの秘密を打ち明けるための場なのだ。
ティネちゃんは、ゆっくりとフードをとり、その耳を露わにする。
「実は、私、犬の獣人だったんです」
「あら? そうだったんですね。それは、驚きですわね……」
ティネちゃんの言葉に、キーラは少し驚いた。
ただ、サトラさんと再会した衝撃の方が強かったのか、そこまでではない。
「今日はその話でしたのね。ティネ、大丈夫ですわ。私は、そんなことは気にしませんわ」
「キ、キーラさん……」
「それでは、私はサトラと宿に行くので、これで失礼しますわ」
「え? キーラ、ちょっと……」
それだけ言って、キーラさんはサトラさんを引っ張って、家から出ていってしまった。
なんだか、少し釈然としないが、これでいいのだろうか。
「あれ? カルノさんは驚いていないんですか?」
「いえ、驚いていますよ」
そこで、私はリュウカさんパーティ最後の一人、カルノさんに話しかけた。
カルノさんは、ティネちゃんの言葉に表情一つ変えていない。
ただ、驚いてはいるようだ。
「ただ、ティネはティネですから、それは変わりません。むしろ、キーラの行動の方が、驚きが大きいくらいです」
「ま、まあ、それは……」
カルノさんも、ティネちゃんのことは大丈夫であるらしい。
その言葉に、ティネちゃんは顔を明るくする。
「よかったわね。皆に受け入れてもらえて……」
「はい!」
こうして、ティネちゃんの秘密の打ち明けと、その他色々なことが終わるのだった。
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