第94話 まだ体を拭かれて
私は風邪を引いてお風呂に入れないので、クラーナに体を拭いてもらっていた。
匂いを嗅がれたりもしているが、クラーナは丁寧に体を拭いてくれる。温かく湿った濡れタオルは、とても気持ちよい。
「アノン、脇の下も拭くけど、大丈夫かしら?」
「あ、うん。我慢するから、大丈夫だよ」
そこでクラ―ナが、私にそう聞いてきた。
脇の下はくすぐったくなるため、言ってくれたのだろう。それは我慢すればいい。多分、大丈夫なはずだ。
「それじゃあ、いくわよ」
「あっ……」
クラーナは脇の下に濡れタオルを入れてくる。
やはり、くすぐったい。だが、我慢できるくらいのものだ。
「んっ……」
「反対側にいくわね」
「うん……」
左の脇を拭き終わったクラーナは、右の脇にとりかかる。
こちらも、くすぐったい。
「はい、終わりよ。よく頑張ったわね……んっ」
「あっ……」
脇を拭き終わったクラーナは、私の頬にキスをしてくれる。
我慢できたご褒美ということだろうか。
少し豪華すぎる気もするが、とても嬉しいので問題ない。
「……すー」
「うん?」
そこで、クラーナが何かの匂いを嗅いでいることに、私は気づいた。
また、私の匂いでも嗅いでいるのだろうか。
「え?」
「あっ……」
そう思い、クラーナの方を見た私は、驚いてしまった。
クラーナは、濡れタオルの匂いを嗅いでいたのだ。
それは、先程まで私の脇の下を拭いていたものである。流石に私も、動揺してしまう。
「クラーナ、何しているの?」
「ごめんなさい。いい匂いがしたから……」
「いい匂いがしたからって、やめてよ……その、脇の下は恥ずかしいよ……」
クラーナに匂いを嗅がれるのは、許容している部分もある。
ただ、恥ずかしくない訳ではないし、あまり嗅がれたくない部分もあるのだ。
もちろん、乗っている時はそこも許容するかもしれないが、今はそんな気分ではない。
「そうね……病人のアノンに対して、失礼だったわね」
「う、うん……そう思うなら、タオルから鼻を離してくれないかな?」
「ええ……」
私の言葉で、クラーナは濡れタオルを離していく。
そして、再び私の体にタオルをつけてきた。
「それじゃあ、再開するわね」
「あ、うん……」
クラーナは、私の体を拭いてくれる。
今度は、胸の辺りだ。
「あっ……」
そこで、クラーナは私の胸を少し揉んでくる。
なんだか、今日のクラーナは少し興奮気味だ。私の裸で、我慢できなくなってしまったのだろうか。
その気持ちはとてもわかるが、ここは注意しなければならない。
「クラーナ、胸を揉まないで……」
「あ、ごめんなさい。アノンのおっぱいが揉みたくて……」
「そ、そんなこと言ったら、私だって揉みたいよ……」
「それなら、後で揉ませてあげるわ」
「クラーナ、ちょっとくらいなら揉んでもいいよ」
注意した結果、嬉しい成果が得られた。
そのため、このことは水に流そうと思う。
揉みたくなるのは仕方ない。むしろ、欲望を抑える方が、危険であるといえる。
そんな感じで、私はクラーナに体を拭かれるのだった。
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