第33話 それでもやっぱり……
私とクラーナは、ギルドに来ている。
そこで、私の知り合いのリュウカさんに会ったのである。
リュウカさんから、パーティを組むのが、夫婦やカップルくらいしかいないと言われ、私とクラーナは動揺しているのだった。
「……というか、お前ら、本当にカップルじゃないのか?」
「なっ! どうして、そう思うんですか!?」
「いや、だって、手とか繋いでいるし……」
「あっ……」
そこで、リュウカさんがそんなことを言ってくる。
確かに、私とクラーナは手を繋いでいた。これは、勘違いされる要因となっても不思議ではない。
「これは、その違うんです……」
「違うのか? 皆、不思議そうに見ていたけど……」
「あ、いや……」
どうやら、この手はギルドの人達からも不信に思われていたようだ。
私とクラーナが、色々と噂になっているから、人に見られているのはわかっていたが、これのせいもあったのだろう。
「ま、まあ、違うならいいや。普通にパーティ組む奴もいるだろうし、別にいいと思うぜ」
「……そ、そうなんですか? 例えば……?」
リュウカさんは、なんとか納得してくれたようだ。さらに、恥ずかしがっている私達をフォローしてくれる。
リュウカさんの知り合いに、そういう人がいるなら、私達がパーティを組んでも大丈夫そうだ。
「……と、とにかく、そういうことなら、お邪魔虫の私は、もう行くよ」
ここで、リュウカさんは話を切り上げた。
もしかしたら、私の質問に答えられないのかもしれない。
唐突な話題の転換だったが、恐らく気を遣ってくれたのだろう。
しかし、若干私達をカップル扱いしている。
やはり、大丈夫ではないのかもしれない。
「それじゃあな! 何かあったら、行ってくれよな!」
「あ、リュウカさん……色々と、ありがとうございました!」
「……ええ、ありがとう」
それだけ言って、リュウカさんは駆けて行ってしまった。
「……いい人だったわね」
リュウカさんが見えなくなった後、クラーナが口を開く。
「うん、そうだね」
「あんな人がいるなんて、思っていなかったわ……」
クラーナは、リュウカさんに対して、驚いているようだ。
確かに、珍しい人なので、それも当然かもしれない。
「……それで、パーティはどうするの?」
「あっ……」
そこで、クラーナがその話題を振ってきた。
リュウカさんの話を聞かされた後では、パーティに誘うことが少しためらわれる。
夫婦やカップルしかしないものを誘うなんて、中々勇気がいるものだ。
ただ、ここで引き下がるのも、それはそれで嫌な感じである。
それでは、クラーナを拒絶するようなことになってしまう気がするのだ。
そのため、私はクラーナをパーティに誘うことにした。
「……別に、気にする必要はないんじゃない?」
「……そうね、そのために作られたものじゃないものね」
私の言葉に、クラーナはそう返してくれる。
クラーナも、リュウカさんの話は気にしないことにしたのだろう。
これで、私達がパーティを組むことは変わらない。
「それじゃあ、本題を済ませようか?」
「そうね、あなたの引っ越しも早く済ませたいし……」
こうして、私達はギルドの受付に向かうのだった。
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