第3話 ー小学六年生~中学一年生ー
去年に続いて、今年も雪が降った。夜の間に積り、朝には雲一つない空に真っ白な雪が良く映えた。
僕は支度を整え学校に向かった。授業は通常通り行われる。遅刻するわけにはいかない。
しかし、やはり雪が降ったとなれば「あそこ」が気がかりだ。進路を学校から公園に変えた。
公園に着いた。早速ベンチの方に向かう。
しかし、誰もいない。
僕は公園のほかの場所にいるのかと思って公園内をくまなく探索した。
しかし、「雪の人」はどこにも居なかった。
夕方には居るかも。そう思って僕はとりあえず学校に向かった。
学校はいつも通りだった。授業があって、この時期の体育はどこでやっても寒くて、給食のプリンは争奪戦になった。僕は参加しなかったがどうやら同じ班の人がじゃんけんに勝利したらしくプリンを持って意気揚々と戻ってきた。
午後の授業が終わるころには雪はほとんど溶けていた。行きとは違っていつも通り歩きやすい道をいつも通り下校し、交差点で友達に別れを言うとユキはもう一度公園に向かった。朝には居なかったが、夕方には居るに違いない、根拠はないがそう思った。
結論から言うと、居なかった。雪が溶けてしまったからだろうか。公園のあたりを一通り確認してみたが特にそれらしい人影はなかった。
この辺りで雪が降るのは珍しいのでおそらく今年はもう降らないだろう、そう考えると少し寂しかったがあんまりショックだとは思わなかった。そのまま家に帰ってゲームをして、宿題をサボって僕は寝た。
***
中学校に上がってからも特に生活に問題が発生することは無かった。勉強もそこそこ、部活もそこまで上手いわけでは無かったが楽しかった。友人関係も平穏そのもので特に部活が同じ人たち数人とはしょっちゅう学校外でも遊ぶほどに仲良くなっていた。
その日、雪が降った。行きづらいな、と思いながら学校に行った。
何かを忘れている気がするが、そんなもの気にも留めなかった。
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