第46話 帰還したらびっくり!
帰ってきたどー!!
ってまず初めにびっくりしたのが、荒いとはいえ道が出来ていたのも凄いんですけど、うちの草原半径5㎞の所に石でできた壁が完成していたんですよね。と言っても高さは30cmくらい。ちっさ。
後で聞いたところによると、領有権の表明のためなんだとか。へえ。
そして、コヤヤとキュウちゃんに乗って帰ってきた私たちは熱烈な歓迎を受けたのですー。しっぽぽよぽよ。
「おかえり市長!! この二年間で一気に成長したぜ、この〈街〉は」
「ただいまキッコリー。なんかもう、私の村、じゃない街くらいにまで成長したね。人口は何人位になったの?」
「ざっと300人くらいだな。人口的にも完全に行政上の〈町〉区分だな」
「え、そんなに。移民でも押し寄せたの?」
「西の方で飢餓が起こってな、人々が食糧を求めにここに殺到してきたんだ。ああ、エルフはここに完全移住したぜ」
「ほへー」
「で、でだが。西の王国ハンバガが領民を返せと迫ってきているんだよな。ちぃと頭の痛い問題だ」
なんとー……
「ここに村があるってのはエルフが教えたのかな?? じゃないと道理が通らない。うーん、正直こっちも領民は欲しい、交渉と行きますか」
「それで、作物などはどうにかなってるの?」
「へい、あっしがお答えいたしやすぜぇ。作物モロコシを中心にとんでもない栄養価を誇っていことが判明したキャベレン草を、西の飢餓が起こった地域に融通しやした。それでも2年前のモロコシが消費しきれずに今でも残ってる状態ですぜぇ。よって穀物は、酪農への飼料供給準備が整いやした。後はお頭が古代文明の動物を買えば一丁上がりですぜぇ!」
「あ、融通した面で知ったところもあるのか。やった行為、かんオブぺき。もーもーさん買おう、もーもーさん。……めえめえさんとかどうなってるの?」
「100頭を超えてる数が放牧されてるっすよ。そろそろマトン以外にもラムの供給も出来そうっすね。ウールによる特注スーツはここの特産っすね。早く絹の成る木植えてほしいっす」
「桁が違う。二年ってこんなに街にするんだね。もうこれじゃあ私の砦を大きくしても意味ないかなあ、入りきらないよね」
「もう象徴としての建物の意味合いが大きいな」
「ここまで大きくなるとプレゼントとか出てこなかった?」
「そういやエメラルドの石から上水道設備をもらったな。地下水からくみ上げる方式だそうだ。ああそうそう、サクラ川からの灌漑はほぼ完了、成長と合わせて徐々に作っている感じだ」
「高炉からの製鉄設備もかなり大きくなったわよ。あなたが出発前に調べていた資源が、耐熱レンガを作るために必要な、酸化マグネシウムとアルミニウムだったのよ。炉を耐熱にして産出量を増やし、その増えた産出量で炉を金属化や巨大化しさらに……、を今やっているところ。正直お金貯まっているんだし宝箱から大型魔道製鉄炉が欲しいわね」
「製造業はめっちゃいい感じなんだね。お金貯まってるのかー。お金といえば商売、商売人のアキちゃん、そこらへんはどうなんだい?本名アキンド・アキナイちゃん」
「余計な説明はいいでありんすよ。私はアキちゃんでありんす。えーと、年間ベースで10000ユロルは稼げているでありんす。交易量も膨大でありんすし、南の村テリアルブを抜いた感じはするでありんすね。良くも悪くも莫大な富を生み出している土地でありんす」
「良くも悪くも?」
「はっきり言ってどこの国もここが欲しいでありんすよ。西の国ハンバガや南の国テリヤキ、東のルーデルと、割と強力な国家に挟まれているでありんす。今のところハンバガ以外は友好を保っているでありんすが、他の国が貿易止めたらそれだけでお金稼ぎが破綻しかけるでありんすなあ」
「食料自給率は200% 300% 超えているってー話だし大丈夫だけど、お金稼ぎが止まっちゃうのは怖いねえ。外交には気を付けよう」
「まあ、外交もそうだが、兵力に関しては成長に見合ってないんだ。村の成長が早すぎてな。攻められても閉じこもる分には何十年も持つと思うが、強襲、砦ごと襲い掛かられるときつい。〈買ったほうがいい〉かもしれないな」
「兵を買うって、傭兵?」
「割って入るでガンスが我々ケンタウロスを〈持ち主〉から買ってほしいのでガンス。我々は散り散りになった種族でガンス、酷い労働条件で働いているものも多いでガンス」
「ああ、それはすぐにやろう。重武装でもないケンタウロスの凄さは以前見せてもらった、あれが重武装化したらどんなに恐ろしく心強いことか。あと、ハラミちゃんみたいな戦闘にも使える荷役動物。アキちゃん頼める?」
「任せるでありんす。お金はドーンと使っていいでありんすか?」
「予算食いつぶすとかじゃなかったらドーンと。六年目の大方針は兵士の増強だね」
「それと、北西、ヒメちゃんの国への開墾ですね、ご主人。各種魔法で一直線最短のルートは確認できてますですよ」
「そうだね、それじゃあ、六年目もみんなよろしく!! レッツゴー!!」
うおお! 熱意に燃えるしっぽ!!
本当に燃えてて毛がぼっさぼさのぼうぼうになって二週間寝込んだ私!!
それで。
「はーい今日も訓練を始めるざんすー。君たちの使う十文字槍はこれこれこうでー」
二年もエルたんに〈教え続けていた〉私は【教える能力】が強烈に身についていました。これは不思議な力も込みの教える力で、どんな馬鹿あほでも一端の兵士にはしてやれる能力です。
なので、きっちりとした訓練教官を雇うまでは私が訓練を受け持つことに。あ、モロッコシートレーニングはやりません。
そんで、エルたんにはまず防護魔法陣を描いてもらって一番外側の壁まで魔法陣を展開。展開は私がやったんだけど、かなり強度あるっぽくて意識吹っ飛びかけた。
さてさて。
魔法陣というのは、大規模魔法陣展開中の内部に大規模魔法陣は一個しか存在できません。干渉しあっちゃうからです。小規模の魔法陣や魔導関係なら干渉せずに使えますね。
なので一つの大規模魔法陣の中にいろいろと術式を書き込むわけです。自動攻撃する塔とか、物体の強度を上げる防護陣とか。
一つ一つの術式はプログラムみたいなものなので、コンパクトにまとめられれば効率良し。そして大規模魔法陣の中にいっぱい書き込めます。
大体大規模魔法陣がある都市では、二~三種類の魔法陣を用意して、防衛、攻勢、通常時、等、都度切り替えるそう。
通常時というのは、魔素を巡らせて必要な個所に送り届ける感じ。電気を各箇所にまわす感じかな、似てるのは。魔導列車(ルーデルでも開発中でしたが)に届けたり、魔道コンロに届けたり。電気配線がいらないところが電気より便利な点で、エネルギー効率がナノマシンより悪いところがちょっとした欠点に見えたな。
でも電線要らない電気って便利だよね? ね? ねぇぇぇぇぇ?
で、エルたんは大規模というか超巨大魔法陣を描き上げて、複合型魔法陣一つで対応させたわけ。
おいぃぃ?
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