第43話 入学するまで。



「それじゃキッコリー、後のことは頼んだよ。じみーにサブリーダーなんだから」

「ああ、そのことすら忘れていたがな。まあ任せろ。うまくやるさ」


 と、超絶簡単な引継ぎをして、私とハルキ、そしてエルたんはルーデルに向かうのでした。

 目的はもちろん魔法学校への入学。

 手続きは住んでいて、入学するのは私だけですけどもお付きの者を数名連れていけるので、これ幸いと二人を連れ出したってわけよ。

 ハルキ君はなんたってチート戦士だし、エルたんいないと私部屋散らかってしょうがないし。


 きつねと馬の合いの子であるコヤヤと、キュウビのきつねとケンタウロスの合いの子(なんてパワーのある言葉なんでしょうか)であるキュウちゃんにまたがってルーデルまで移動。したかったのですが、あの大砦で一旦停止。今回は村の領主が由緒ある魔法学校に入学されるというためか、専用の蒸気機関車で輸送されることになりました。多分、きつねちゃんたちが疾走したほうが速いんだけどね。しょうがないね。


「わー煙がもくもくさんだー! すごいねー! 馬力あるぜって感じがするー! うちも製鉄や岩塩を運ぶのにこういうの導入したいなー!」


「サクラさん、今のうちに列車が走る部分を区画整理しておきましょう。山手線計画です」

「ヤマノテってわかりませんけど、凄そう。鉄道馬車を走らせる部分だけを整理しておくだけでもすごい効果あると思うー! 速く走るならコヤヤにキュウちゃんだけど、輸送なら鉄道!!」


「んー計画建てよう、これこそ五ヶ年、いや十ヶ年計画だ!!」


 やるなら今この瞬間から。山手線が分かるハルキ君をコヤヤにのせて超速度で使いに出しました。伝えるだけで計画を立て実行するのはキッコリーやカジコにケンさん等。

「えーと、半径5kmの円の面積は78.5平方km、ヘクタールに直すと7850ヘクタールなんだっけ。地味に広大なんだねえ……。どれくらい広大かというと、山手線の内側が6300から6500ヘクタール、えーと、1個入っちゃうね。広大だねえ……」


「それこそ鉄道の出番ですねご主人。超巨大城塞都市ルーデルが列車を走らせる参考になるのではないですかねーご主人」

「そうだねえ、学校にいるうちにどんどん吸収しよう」


 れっしゃははしるよしゅっぽっぽー


「ついたー!」

「えーとご主人、学校ですが、第一区画の中にあるみたいです。どこかで着替えてから向かいましょう」

「ほいほい」


 どこかで着替えてきました。


 私は蒼のワンピ、エルたんはメイド服。出来ればどちらも自家製絹で仕上げたかったけど、絹の成る木を植えることが昨年できなかったために、テリヤキから輸入して作ってもらいました。替えの服込みでね。結局絹で作ってはいる。

 じみーに見えないくらい細い鋼鉄の糸が織り込まれているのでチェインメイルよりは防御力あるんじゃないかな?さすがに金属を織り込んでいるので熱伝導の関係上ちと寒いんだけど、ウールの下着を着ているので寒さはまあまあ何とかなる。やっべーうちの村もう何でもできるじゃん。

 さすがにこの格好でキュウちゃんにまたがることはできないので、降りて、馬車捕まえて移動。


 いやーキュウちゃん目立つわぁ。見た目完全に九尾の狐だもんね。

それを従える私。わはははは頭がたかーい。


 キュウちゃんはすこーしだけ馬の体系に似ていて、そこに鞍つけて乗ってる。手綱は、ないです。口の中に紐をハムハム出来る部分がない。そもそもきわめて頭いいので、手綱で操る必要がない。猛ダッシュの時は鐙しっかり踏み込んで鞍にしがみつくしかねえ。まあ特注ですけど、鞍も鐙も。


 さてさて、そうこうしているうちに第一区画を通り抜けて学校前に。いやー第一区画はマジ服がきれいですわ。絹輸入してよかったわ。綿じゃ見劣りしてた。


 ここまではキュウちゃんと一緒に移動できたんだけど、ここから先は一緒にいられないようです。学校付属の厩舎に運ばれていきました。しかしでけーきつねだ。つーかでけーなあこの学校。


 まずは事務局にいって事務処理。

「じむじむしょりしょり」

 はい、終わったのでお部屋にご案内されたよ。住居A棟103号室。へー、集合住宅の建築が出来ているんだねえ。


「でっかー」

「私ご主人みたく異世界で既に都会を知っているとかじゃないので、本当に何もかもが、こう、言葉にできない……」


 ゴージャスなマンションと思うと理解が早い。1Fですが、まあ気にせず中に入りました。


 内部も綺麗。3LDKみたいな作りになっていて魔導によって熱コンロや上下水道は完備。天ぷらも揚げられちゃうねこりゃあ。

 もっと上の階層はもっと凄いんだろなと思いつつ、3人の部屋を割りふって、とりあえずごろーん。きつ寝。ぐうぐう。




 というわけにはいかなかったー!! うおおお入学式におくれるうううう!!


「えーというわけで、やんわりと言いますが、学内では過激な行動はお控えください。以上、校長」



 間にあたー。身体鍛えておいてよかったよ。ありがたくねえけどお礼は言うよモロッコシー、助かったぜ。


 この後魔素に関するテストをして数日後クラス発表だそうです。基礎はどのレベルから教えてくれるんじゃろ?


 それで、保有魔素量や魔素力のテストをして、恐らくこっちに来てから初めて〈チートレベルの力を持っている〉と判断されて、判断されちゃって(テレテレ)、はんだんされちゃってー(でれでれ)、一番上位なクラスに入ることになりました。ばんざいばんざーい、しっぽぽよよんぽーん!


 とっもだっちひゃっくにんでっきるっかなー。しっぽしっぽ、ぽぽぽ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る