第42話 春! ぱんぱかぱーん!
ちょっとお話が戻りますが、大型有蹄類モンスターを倒せると何が手に入るかって、皮です、皮。一度に大量の皮。(ちなみ皮は部位ごとに使い道が違うんです)。それを革にします。
モンスターの革なんで超古代文明の牛さんでもない限りは頑丈さ、引張強度、他、もろもろの性能が違います。売れるし使えるし、という感じ。
これを比較的余裕に倒せるようになったのは大きいですねー。革の供給レベルが引きあがった感じです。早速防寒着と戦闘着作ってもらおっと。
地球でも牛革製のライダースーツが現役だったように、革って結構いい感じに擦れとか引っ張りに強いんですよね。これの上から本当に鋼鉄の糸を縫い込んである超古代の強化服を着こめば、【防具強化魔法】も相まってけっこーな防御性能を誇るんですよ。
ただまあ、10mクラスの大型有蹄類モンスターの突進を食らって死なないで済むかどうかとは話が全く別ですけど。【防具強化】には物理エネルギー緩衝効果もあるとはいえ……ねえ?
そうなるとさすがに大型シールドつけて全身に鋼鉄の鎧を使いそれに
そう、この世界、いわゆる〈熊の攻撃をシールドで防御できるし、するとダメージ(なんすかね具体的に)が減る〉あの不思議な世界でもあるのです。数値でわかる世界 (防御力や
とにかく、装備が揃えば熊を受け止められることは可能なんです。
さて、逸れまくったので話を戻します。
「春じゃー! ぱんぱかぱーん! ぱんぱかぱーん!」
ぱんぱかダンスを踊る私。両手を上にあげて、扇子……はないので鍋の蓋をもってぱんぱかする踊りです。さいこーやん?
「ぱ、ぱんぱかー……、ぱんぱかー……」
もちろん魔女メイドたるエルたんにもやらせます。すげえ恥ずかしがってるのが、くぁいぃぃぃようぅぅぅぅ!!
ぱんぱかぱーん! ぱんぱかぱーん!
一通り踊ったところで、サクラの砦、大広間に集まっている皆様に向き直ります。ええ、大衆の前で踊っていましたよ。ぽよよん。
「さてと、皆様、春になりました。新春です。おめでとーございまーす」
「「「「「ざいまーす」」」」」
「この村も3年目、割とすごい勢いで成長しているんですけど、まだまだ勢いが甘いです。もっと労働力を、人口を、増やしていきましょう」
簡素な言葉ですが村の長としての言葉を述べて、そのまま宴会。
どんちゃっちゃどんちゃっちゃ。
あそーれ、あそーれ、しっぽしっぽ、ぽんぽんぽん。
宴会が終わりましてメインメンバーだけの集まり。最近しっぽばっかりでみみの存在を忘れているよね? という議題が出ました、うそです。
「毎年恒例、1年の元旦にきつねは寝るを開催します。ぐう」
「お館様、まともにやってください」
「うぐ、ハンタに言われるとは。はいー、1年の計画を立てていきますよ。五ヶ年計画とかも立てたいね」
「じゃああっしから。作付けはかなり安定したので、今度は補助食品を作りたいですぜぇ! 宝箱にあるキャベレン草を栽培研究したいですぜぇ! 」
「あーあれ、ちょっと種籾の代金高いけど、なんか凄そうだよね。いかにもキャベツとほうれん草、あとなんか
「ありがたきしあわせー!!」
「木こりはもっと人員が欲しい。鋼鉄の魔導工具が曲がりなりにも使えるようになったから道具の効率、生産効率が跳ね上がっている。いくらでも人員が欲しい」
「わかった、商人のアキちゃんに頼んでおくよ。移民が増えるといいんだけれども。家と建材に材木がかなり重要だから、余った鋼鉄はこっちにまわそうね。今年も頑張ろう、キッコリー」
「ああ、よろしく頼むぜ市長。人が住むためには最低でも木造家屋、交易いや貿易する舟をもう一艘作るにしても木材、道具の柄なんかは木だし、今でも兵士の主力である槍は切っ先以外はやはり木製だ。木はとにかく重要なんだ」
「うむー、そうだねえ。えっとじゃあハンタ、狩猟や革の製作、各地の探索はどうなっているかな?」
「はい、お館様。狩猟は非常に好調ですね。魔導銃の導入により大型有蹄類モンスターの狩猟が可能になり、そこからの利益が本当に大きいです。南の国テリヤキには大型有蹄類モンスターはおりますが、魔導銃は発達しておりません。効率の良い狩猟が出来ず、皮の質は悪いです。そして魔導銃が発達している超城塞都市ルーデルだと周辺にもう大型有蹄類モンスターが住める草原や森がありません。各国交易はしているでしょうけれど、この村がいわば近隣の良質の皮そして革を独占している状況です。」
「はえー。じみーにそんなかんじだったんだ。じゃあ革の収益って? 500ユロルくらい?」
「はーい、それは商人のアキンド、アキちゃんが説明するでありんすよー。今の段階だとルーデルに、マジックリュックサックにぶち込んで徒歩でもっていってる感じでありんすね。大型バイソンモンスターくらいの種類になると一つの革で500ユロルは固いでありんす。一回行って1000ユロルは稼いできているでありんすよ」
「まじかー!!」
しっぽぽよーんぽーん!!
「探索ですが、南西の山、
「きたこれ」
「どんな資源でも扱いこなして見せるとカジコ様は張り切っておられましたよ」
「よーしいい感じだぞう。めえめえはどんな感じなんだろうか」
「はい、ご主人。聞いたところ、12頭生まれました。妊娠した雌1匹につき2匹の赤ちゃんがきっちり生まれたです。さすがは超古代文明のめえめえさんですね」
「ひょおおお! 頑張ればウール取りつつマトン肉くらいは食べられるね! これももっと一気に買ってしまおう!! んでんで、そのウールはどれくらいとれたのさ」
「それは私ハリコーの分野っすね。沢山取れたっす。紡いでウール糸にすれば、最高のイケてる防寒具及びスーツとかになるっすね。これ、相当良い商売になるっすよ。何処も冬は寒いし、ウール製超高級オーダーメイドスーツとか一着でかなりするっす。販路はテリヤキの方ってアキが言っていたっすね」
「まだルーデルは交易路の確保できていないもんねえ。よーし木こりはさらに東の森の開拓を進めていこう」
「さて、聞いたところで五ヶ年計画を立てたいんだけど、どこも増産増強ってところなんだよね。移民してきた人の順番つけよっか。木こり、農業、岩塩、鍛冶屋、製鉄、石、かな。人が必要な場所から順に振って、専門家は後回し、というか専門家を連れてくる」
「石はどうなんですぜぇ?」
「石は資源と製鉄の兼ね合いでモルタルとかコンクリートが作れるから、そっちでいろいろと作るようにしはじめるみたいだし、レンガもあるし、大きな拡大は大丈夫ってところ。石灰石採掘に回すかもしれない。残りは建設用の石から細工や装飾用の石に変わっていくかもね。……そいじゃあ、こんな感じかな。五ヶ年計画はちょっと立たなかったね。まあ、1年を繰り返して順調に成長させていこう」
あ、防衛忘れていた。そろそろ通常の兵士を作ろうと思います。住民から兵士になる人を募ってね。
近隣の獰猛なモンスター排除を3人で回すとして3交代制、10名くらいかな。
訓練はちょっとした訓練官を雇うか。給料だけで合計350ユロルというくらいかな? 維持費込みで400ユロルくらい?
いけるいける。今結構余裕あるし。
さーてこれから魔法学校に旅立つ準備だ。魔法、まほう、すてきなマホウ。
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