第39話 ついにエルたんがきれいな体に!あと、エルフのサービス業とか。

 第三次産業

 試射、死者、試写。


 使者がきました。


「エルフ!? えるふのししゃ!? まじで!?」


 ついに完全なるファンタジー人種きました!! さっそく会わないと!!



 謁見の間などないので出城一階の大広間にて急ごしらえで作った椅子に腰掛け、使者を待ちます。写真撮りたいです。エルフですよエルフ!!


 それで、出迎えたんですけど、マジ綺麗っすねエルフって。

 金髪ではかなさを持っていて、線は細いのに女性的な部分はある。

 っはー、今どきのエルフって工芸品を作っている人種ではなくて、それそのものが工芸品なんすねー。


「あ、どもども。オオイズミ・サクラです。オオイズミは自称です。貰った名前ではないのでそこのところよろしく」

「私はフルと申します。この度はお目にかかれて光栄です。本日は献上品を持ってまいりました」

「けんじょうひん」

「はい、私です」

「あなた」

「奴隷としてお使いください」

「りかいがおいつかない」



 えーっとですね、なんでも、あのゴブリン軍団に貢物としてエルフを渡せと迫られていたそうで、そこをうちが壊滅させたというところで、仲良くなっておこうと。


「それで、人を献上ですか」

「エルフはそれ自体が工芸品でありますから」

「ううーん、まじかー」

「私も、ゴブリンの貢物となってゴブエルフを量産するよりはここで慰め物になったほうがいきる意味を持ちます」

「ちょっとエルフってなんかへんじゃない?」

「貢げないとなると、私は戻って自害いたします。工芸品として価値がないので」

「あ、確定的に変だわ」


 なんかもう変なルフさんをなだめつついろいろとお話をききまんた。


 どうやらゴブリン洞窟のもうちょっと西の方にエルフの集落があって、そこからの贈り物だそうです。

 人間の村が完全に廃村になったので、次は我々エルフかとゴブリンへの貢物を集めて待機していたとか。うわ、変だろ。


「わたしのしっているえるふとちがう」

「エルフは工芸品を作る、くらいは常識かもしれません。そして我々の集落は自らを工芸品として作ったのです」

「そっかー」

「ですので工芸品みつぎものをお渡ししますので侵略はおやめください」

「すげーりろんだ」


 なかなかにぶっ飛んだ神経してますね。


「でもさ、ゴブリン軍団蹴散らしたうちらが侵略をやめないとしたらどうするの? 自衛する兵力あるのかい?」


「それ……は……」


 えっ。


「あ、触らないほうがいい気がしてきた」


「あの……ごしゅじん」


「しゃべるな俗物が!!」


 うお、エルたんにブチ切れたぞ!? なんかやべーぞまじで!


「う、うちの魔法部門トップが俗物なの?」

「こ、これは失礼しました。ただの奴隷かと」

「あの……つかえ、ない……やつら、だけど、……きれい、だし、」

「だし?」

「こうきゅ、サービス業、とか、どう、かな」




 天才てんさい




「というわけでエルフの集落に赴きました。まじで美男美女しかいませんな」

「なんで僕もついてくることに……」

「わっちは商売したいでありんすからな」

「護衛と商人という感じよ。というわけで銀座のママやバーのマスターみたいな感じで雇いたいから何名かアキちゃん見繕ってちょうだい」

「任せてでありんす」

「なんか交易もしたいのでハルキ君はめっけもんさがしてちょ」

「わかりました……」


 二人が探している間に私はエルフの長と面会。友好条約を結びました。村と集落だけどね。うちは完全に独立しているし、人を雇うんでこういうのはしておかないと。


「二人ともいい感じかい?」


「わっちは男女合わせて10名ほど人材を集めたでありんす。質の高いサービス業が村で行えるでありんすな」

「ぼくはお酒を。素晴らしい工芸品には素晴らしいお酒じゃないとだめだそうで。人間の奴隷使って作ってました」


「夜のサービスにぴったりじゃん?雇って買い取って、領民に安く提供しよう。高級レストランみたいな感じで性別問わずに遊べる感じにすれば、士気が上がるでこりゃあ!!」



 さくっと帰って、お酒を交易するための馬車を作ってもらいましたよ。製鉄出来て紡績できて木材あって超万能大工いれば、作れるもんなんだねえ。嬉しい。引き馬はもちろんモンブツ。もう、モンブツでいいよ、うん。馬と牛とかけあわせた、ウマシ。ぎりぎりな名前だ。


 まあこれで3次産業も起こった!


 ばんざいばんざーい、しっぽぽよよんぽーん!



 この一連の流れが秋の始まりで、今は秋の終わりごろ。そろそろ来ますね、緊張してきた。



 そう、私の発情期です。あーこえー、ジャンピング土下座しないといいんだけど。



 今はエルたんを縛り付けて逃がさないようにしている感じ。餌は君じゃ。


「むぐぐむぐぐ」

「とりあえず逃がさないからエルたん。昨年はひどかったんだ、今年は君がいるからだいじょはぁぁぁぁぁん!!」


 襲い掛かる私。色々とあきらめている顔のエルたん。



 ――――


「すっきり」

「声出るように、なった」

「やったねエルたん!」

「心は真っ黒……」

「でも呪いが取れ切ったのか、肌の色が透き通った翡翠ひすいっぽい感じできれーになったね! ユニーク個体だ!」

「ぱっと見では忌子のオークエルフとはわからないです……?」

「これで従者として堂々と出歩けるねー」

「ご主人のお役に立ててとてもうれしい、けど汚れ切った……」

「吸い取り切ったからだいじょーぶ!」


 今年は無事に迷惑をかけずに乗り切り、しかもエルたんの呪いを取り切りました!


 これからのお洋服は、昔の魔女のお洋服をメイド服風味に仕立てた感じにするよ。8割私の好み。だからスカートの丈と袖の丈は割と短い。黒が基調だけど、白と赤で刺し色してある。例の帽子は内側紫でコンパクトなものをかぶせたよ。

 メイドって肌を露出するものではないんだけど魔女メイドだから良いの、いーの!


 ぐへへへへへへ。



 ばんざいばんざーい、しっぽぽよよんぽーん!

 ばんざいばんざーい、しっぽぽよよんぽーん!

 ばんざいばんざーい、しっぽぽよよんぽーん!

 ば「うるさいご主人! 【ぴょこぴょこはんまー】!!」

 出現するぴょこぴょこぴょこハンマー。殴られる私。

「ぐえあ」

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