第38話 外交準備、防衛準備。
エルたんがかわいそうな顔しているので、魔法鉱石と絵具を宝箱から買って魔道銃を作ってもらうことにしました。三丁だけね。私、ハンタ、エルたん。
ちょっと銃には詳しくないのだけど、地球で軍隊が使うバババーって撃つ銃じゃなくて、狩人が使うような銃、猟銃って言うんだけど、ドカーンと撃って一発の破壊力のあるやつを作ってもらったよ。
ハンタが持っていた旧型とは、新型のは構造からして違うみたい。旧型は保持者の魔力を吸って、魔素を詰め込むタンク(魔法の弾と発射エネルギーを作り出すところだよ。普通の銃でいうマガジン)に充填するんだけど、新型は魔素をタンクに〈詰め込む〉んだって。
普通に、吸うより詰め込んだほうが速いし、魔素を込める力を強めればいっぱい詰め込められるわけで威力も高い。水素原子並みに小さいという〈魔素の構造的性質〉上どうしてもタンクから消散していくので、発射する前に魔素を〈込め直す〉という繊細な作業をしないといけないのは〈勝手に充填する〉旧型のほうが勝ってるのかな。
扱えれば新型のほうがほとんどの面で有利、とのこと。
へーそっかー(はなほじほじ)。
銃って分解組み立てができるんだって。へー。
パーツごとに分かれていて、どれも木こりさんと鍛冶屋さんに、図面(エルたんが引いてました、すげえ)と寸分違わずに作成してもらって、細部をエルたんが加工する感じ。
パーツ内部はこまかーく魔法陣が書かれていて、マジでどーなってるかはわからないんだけど、地球でいう電子回路みたいな感じだったかな?くりかえしになるけどちょっとよくわかりませんね。
んで、その回路に私が魔素を注入して基礎の出来上がり。細かい調整はエルたんがやるそうです。
ふーん。
あ、ライフリングってのは私の以外はしてあるそうです。やっぱり魔法の弾も回転してた方が弾道特性が良くなるんだって。なんすかそれ。
私のは魔法の弾が翼をもって超高速で発射される、かなりの遠距離まで狙える超威力破壊弾らしい。よくわかんないよー!! 攻城兵器はボッコボコにできるそうです。
その威力も、三丁どれも調整が効くんだって。まあ、うさぎに大砲撃って殺したら肉がバラバラになるもんね。私のは特別に大幅な調整が効く感じ。すごい特注で嬉しいけど、ちびっとだけ愛が重い。
ま、これで弓だけじゃなくて銃も撃てるようになったんだ、防衛に関してはまあまあいけるでっしゃろ。
ちなみにエルたんはケンタウロスの皆様にも銃を作りたいそうです。月一丁くらいのペースなら破産しないで作れるかなー。
防衛といえば、第1の壁が石積みになりましたー!そしてサクラの中型砦も完成! 夏の間に完成してよかったよかった。防御魔法陣も展開して防御はばっちり!
中型砦はその広さを利用して食料保存庫と素材保存庫(どちらも亜空間改装済み)を内包したので、まじでびくともしねーですな!
しかも屋上には投石発射機とか、据え置きバリスタとか設置してあるし、内部での矢作成とかもができるようになっているので、攻城戦で打ち合いに負けることも大砲こない限りはないっしょー!
第1の壁内部が手狭になったので、みんなの家を第1の壁の外側、第二防御区画に移すことにしたよ。今その防御区画を策定中です。
「んー、完全な防御はもう難しいかねえ。家そのものの数が結構多くなっちゃったよ」
「そうですねサクラさん。まずは堀か何かで早急に周りを囲むようにして、第二壁の建設は年単位にしたほうがいいかもしれません」
「堀で思い出したんだけど、農作地への灌漑はどうなってるの?川……じゃなくてサクラ川から水を引いてくる奴」
「いま農民と製鉄所員総出で作ってやすぜぇ」
「ん?製鉄もかかわってるの?」
「ええ、製鉄で出る不純物、スラグっていうんだけど、それと石灰を混ぜて混合モルタルを作るのよ。モルタルって言ってコンクリートみたいな奴ね。そのモルタルで水路を固めながら作ってるわ」
「みんなあたまいいねえ」
「なんだかんだで専門家集団が集まってきてるんですよ、サクラさん」
「わたしはなんのせんもんかなのでしょうか」
「人をまとめ上げる専門家ですね、お館様」
解せぬけどまあいいや、しっぽぽよんぽよんしてよっと。
そんなかんじで、秋に入りましたが精力的にこの開拓地は発展しております。
……これはきつねの勘なんだけど、そろそろどこかの国がちょっかい出してきそうなんだよね。超古代文明の遺産の上に作っている開拓村とか、欲しくない国ないんじゃないかな。
ルーデルは国みたいな複数の都市で成り立つような広い概念じゃなくて、独立した単独都市である都市国家だけど、衛星都市はいくらでも欲しいでしょう。
テリヤキ国だってこんなおいしい資源が湧いて出てくる大地に都市を直接したいはずだもんねえ。
んー、今度は兵士の調達かなあ……開拓って全然スローワークスローライフじゃないわ、日本のラノベめ、謀ったな。しっぽぼよよんの刑に処す。
――――
「兵士、ですか」
「うむ、ハルキ君としてはどれ位雇えると思う?」
「どれくらいというか、どう考えてもルーデルには敵いませんね。規模が違いすぎます」
「ええーじゃあ蹂躙されちゃうじゃんさー」
「外交するしかないのではないでしょうか。まずは私とサクラさん、そしてエルさんを魔法学校に入学させてもらえるように〈お願い〉してみてはいかがでしょう」
「なんで魔法学校?いや、体形的にはほとんど覚えてないからうれしいけど」
「ルーデルの官僚養成機関と、ルーデル富裕層及び諸外国の要人との人脈構築機関でもありますからね。外交するにはやはり個人的なつながりを持っておかないと」
「なるほど、3人なのは、村のトップ、護衛、メイド、ってところかな?」
「そうですね。お金かかるので来年の春から入学できるように貯金しておきましょう」
「今は製鉄で儲けを出そうとしてるけどさ、岩塩と錬金術そしてお洋服で学校のお金を絞り出すって、どこの貧困村だよって感じだよねえ」
「実際事実です」
「くっころ」
――――
「うにょうにょうにょろ。しっぽだんす」
「暇を持て余してるなら錬金術してくださいサクラさん。僕は西の方へ探索兼狩りに行きますね」
「ウィッス」
素直に錬金術します。お金稼がないとね。
秋の山菜とかから行う錬金術の豊富さは依然述べた通り。まだまだ豊富にある、というかもてあましている半径5キロの内部の草原といまだに道ができない周辺の森林に出かけては素材を持ち帰って錬金術します。しちゃいます。
「ふはははーおかねになーれおかねになーれ」
「ごしゅじ……げすがお……」
最近は錬金もエルたんに教えてもらって消費期限の長い〈状態固定〉にできるようになったので、作り溜めして一気にサクラ総合商会ルーデル支部に送って荒稼ぎしてるよ。
錬金基剤3つ60ユロルの相場、一年位前だったのになあ。すごい成長率だね! やっぱり【市長権限の加護】の【成長率の向上】、そして〈都市の成長〉は素晴らしい。上達するってたのしいねー!
魔導銃の練習も兼ねて狩猟に行ったりもしてるんだよ。魔素込め式は込める魔素で威力と射程距離が変わってくるそうなので、そういうのの練習? かな? それと単純に狙いの上達。
普通の人間とは違って目と鼻と耳が異常に効くこのおきつねぼでぇ、鹿とかを探すのには苦労しませんね。
今もバイソンを見つけて仕留めました。そう、有蹄類なら大抵生息してるんだよここ。
なんかさー、異世界転移した割には、この身体大してチートしてねーなーなんて思っていたんだけど、私の周辺環境はチートしてる感じがする。
「異世界転移したらめっちゃチートな環境に恵まれました~環境の凄さだけで生きていきます~」みたいな?
やっぱり転移転生したらチートしたいよね!!
なんてのんきなことやっていたら、ハルキ君素人童貞が慌てて帰ってきました、何事かな?
「サクラさん、西の村から使者が来ました!!」
なにそれ
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