はるらんまん、きつねはそれしか大見出しをかけない

第33話 春爛漫、開墾とめえめえ楽しいな。


 ゴブリンとの激戦ですっかり忘れていましたが、この世は春です、春爛漫です。ヒャッホウ。


 おはなみにーいきましょー。




 なんてやっている余裕ありません。開墾です開墾。開墾だけは木こりも鍛冶屋も関係なく、全員でやります。

 特に今年はモロコシ生産を大規模に増やすからね。

 それと、モロッコシーは野菜生産も出来るので、野菜農地も開墾します。


 モロッコシー、ただの筋肉だるまじゃあなかったんだね……。


「そぉい! 【土制御魔法】!!」


 ずごごごご!


「うーん、私の魔法も強くなってきたなあ。一気に広い範囲をふかふかの土にできたよ」


 私、攻撃魔法以外は結構強いのかもしれない。なんか嬉しい。しっぽぽよよんぽん!


 そんな感じで開墾しまくって、今回は昨年の3倍の作付け面積を確保しちゃったよ。……種あるのかな。


「種はこの3倍作付けしても大丈夫な量がありやすぜぇ! 昨年種も収穫しているから、全く困らないぜぇ」


 素晴らしいー。とりあえず食料は心配ないかな。ただ、モロコシと野菜の作付け面積が広くて、第1の壁から見渡す限りの勢いで開墾しちゃってるんだよね……これ収穫期までに労働者もっと増やさないとなあ。というか、モロコシを売れないものだろうか?


「モロコシでありんす? まずはそこら辺の農村にばらまいて、奇跡のスーパー食材というのを分からせないと需要出ないんじゃありんすか?」

「それってここ狙われるよね」

「そーでありんすねー。この際どこかに所属するというのは……、あ、だめそうでありんすね」

 アキちゃんは私の切れ気味の顔を見て案を引っ込めました。おるぁ? ごるぁ!



 ――――


 北東にどっさり開墾したので北は、放牧だ!!!!


 というのも、遂に領民が80名ほどにまで増加したので、狩猟でのお肉の供給が完全に足りなくなっちゃってね。酪農を開始することにしたんだよー。


 そこで、ついに買っちゃいました。ひつじ! 羊! めえめえ!  どどーんと24頭!!宝箱から買ったから冬の岩塩利益吹っ飛んだけど、これで毎年羊毛と羊の肉が手に入る。しかも宝箱の羊だから毛も肉も質がとても高い! と思う! さすが宝箱様や! ヒャッホウ!


 羊さんは放牧柵などを作らずに適当に放牧させてます。草原の草を食べさせてるけど、モロコシの茎が主な飼料。羊は草がしっかり生えていれば飼料なしでも育つんだけどね。


 モロコシの実も相当な栄養価だけど、モロコシの茎だってすんごい栄養価っっぽいんだよね。

 羊さんはおろか、余裕で牛さんも飼育できるわ。そりゃあ、大規模に展開はできないけれども。

 来年は羊さんを増やしつつ牛さん買うぞ、牛さん!! 牛舎を作ったら、念願の牛さんだな!!

 牛さんも羊さん同様宝箱から買う。ここ陸の孤島すぎて一般生物がたどり着くのが難しすぎるよ……



 ちなみに、放牧担当は新しく来たケンタウロスの夫婦。奥さん身重。今年生まれるのかなー?

 牧羊犬要るのかなって思ったけど、自分で走るから大丈夫みたい。なんかケンタウロスって冷遇されている割に凄くないですか? すごいですよね? すごいです、すごい。

 でも、牧羊犬かわいいし後で購入しようっと。ルーデルかテリヤキ国の輸入で十分だね。絶対にモンブツは買わん。


 ――――



「ひつじさんが逃げ込むための壁、つまり第2壁が必要だと思います!!」


「うーん、強固な羊舎ようしゃじゃあだめですかね。今領内の施設を石の壁や家にグレードアップさせているので手が回らないですよ」

「そんなー、ひつじさんが獣に襲われて死んじゃう」


 そうなんですよ、放牧するところや開墾した土地は捨ておいてでもですね、羊さんを守るなにかを建設しないとさすがにやばいんですよ。


 今までは強い生物である人間や亜人がいたしそれらは我々が壁の中にいたので、攻撃することができませんでした。

 しかし、か弱い羊さん、しかもそれが壁の外にいる。今までとは話が違います。

 やつら、そう、凶悪な肉食動物および恐怖のモンスターがやってくるのです。たぶん、きっと。


「いやさーダメだって。かもしれないんだよ、ダメだって、ダメ。か弱いひつじさんは守られるべきです」

「野犬や狼がやってくる可能性は否定できませんが、ここは人里離れていますからねえ」

「4つ足のモンスターがやってくることは?」

「うーん……」

「ブヒッヒーとかさあ、ワンパクウサギ、歩くウナギ、ガオガオーンとか、森で見かけてはいたじゃないさ。やっぱり第2壁を作るべき!」

「さすがに全てを覆うわけにはいきませんし羊舎ようしゃの周辺にしっかりとした木の壁を建てましょう。それでしっかりと保護できますよ」

「むー、しょうがないな。ひつじさんがモンスターのせいでなくなったらハルキ君のせいね。首くくってもらう」

「大げさな……。まあ十分な対策をしますよ」


 まあ私も聞き分けがないわけじゃないのでこれで良しとしよう。



 あとは山菜や野草を取ってー、こねこねして、錬金物を作ったりね。

 綺麗な緑色をした傷薬や、青い透き通った殺菌薬など、春の錬金物は綺麗なものが多い。

 地球でもそうだけど、なんかこう、息吹をかんじるねえ。

 食べるにしても薬を飲む使うにしても、ちょっと苦いのがまた春っぽい。


 やはり春はいいなー。ゴブリンもいなくなって、危険が無くなったしね。

 春満喫! いぇい!



 ただ、このしっぽとみみ周辺の抜け毛はどうにかならんものか……。すんごい量が生え変わる。



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