終わった! 戦争終わった! 私は寝たい! きつ寝。ぐう。だめ?だめか。おとなしくしときます。

第32話 せんごしょりしたり、およよよ。



「えーと、どこからはじめようかな」


「真っ先に行うのは奴隷解放だろう。ここで働かせるのか、どこかに引き渡すのか」

「ああー、うん。街に渡しても働きどころがないよね。引き取るかな……」

「どこかに生贄を渡した村があるだろう、そこに戻すのはどうだ」

「無理っすよ、ニエが戻ってくるなんて不吉以外の何物でもないっす」

「むう、じゃあ……引き取る!!精神的にもろい人でも引き取るよ!そして余裕が出来たら村に押しかけてそこを衛星都市にしてしまおう」

「なにかを貢がせる村か、まあ悪くはないな」



「それで、西のほうにはなにかありそう?」

「今総出で探しているけど、石炭は見つけたわ。かなり質の良いものを、ね。あの穴は石炭を採掘していた名残のようね。

「まじかよすげえ」

「まじだよすげえ。あんな穴にするんじゃなくて、外からがりがり削って石炭は採掘できるわ。後は質の良い鉄鉱石でも手に入ればね」

「見つからなくても、私が生み出している鉄の量も日に日に増えているし、武器の切っ先くらいは何とかなりそうだね! 交易で手に入れてもいいね! ばんざいばんざーい、しっぽぽよよんぽーん!」



 ――――



「足らない、足らないよ。労働者が足らない」

「俺やモロッコシーの伝はもう使ったし、募集するしかないか?他国の〈正式な人〉を〈移民という形で引き抜く〉のは一種の敵対行為だが……」

「どうしよ…………」


「ここでわっちの出番でありんすなあ。うちの商会経由で人集めをすれば少しはリスクが減るでありんすよ」

「サクラ総合商会で?どうやって?」

「表向きは従業員を募集するでありんすが、実態は移民でありんす。まあ、職業を決めてから移民をしてもらう形になると思うでありんす」

「アクロバティックだねー。まあ安全にお願いね」


「あのでガンス」

「ん、どしたのケンさん」

「もうちょっとケンタウロス仲間を呼び寄せたいんでガンスが、だめガンスでガンス?」

「喜んででガンス!正規兵を担ってもらう約束があるけれども」

「嬉しいでガンス、それじゃあタウを使いにして呼び寄せるでガンス、ありがとうガンス」




「ふいーとりあえず戦後処理はこんなもんかな。いやー疲れた疲れた」


 ―――ぴいかーん!!エメラルドの石が光りましたよー!!―――――――


「しらん。寝る」


 ――無碍な扱いを覚えましたね!? 今回は村に発展するこの開拓地にボーナス労働者をプレゼントしようと現れたのですが――


「ぐうぐう」


 ――いりませんかねえ、古代の無限エンジン搭載の大工労働者――


「すいませんでした、いりますいります超いります」


 ――ではそこに出現させますね、はい。――


 ボワンと雲が広がり、中から現れたのはまさに機械という感じのロボット。180cmくらい?地球でも今日日こんなロボットロボットしてるの見ねーよ。


「これですか」


 ――これです――


「こんにちは市長。私は無限エンジン搭載なので24時間働けます。メンテナンスは年1で大丈夫。どんどん作業に当たらせてください」


「凄くないですか」


 ――すごいでしょう?――



 ということで、念願の大工労働者を手にれたのでした、ばんざいばんざーい、しっぽぽよよんぽーん!





 ――――





「ということで現状をまとめます」


 ホワイトボードに書き書き。


 ・西のゴブリンを駆逐したことで西の探索範囲が広がり、石炭を見つけたよ。


 ・奴隷のお姉さんたちは、労働者になってもらうよ。


 ・労働者と兵士を倍増させるよ。


 ・エメラルドの石が出現して、「そろそろ村ですねぱんぱかぱーん大工労働者をぷれぜんとしますひゃっほう」って言ってきたよひゃっほう。


 ・エルたんが少しだけ喋れるようになったよ。


「こんなところかな」



「サクラさん最後、エルさん……?」

「うん、ちゅっちゅちゅっちゅ吸いまくっていたら少しだけ」


「……ぁぃ……す……だ……け」


 おおおーと歓声が沸き起こります。


「サクラさんは本当に何でも少しだけ出来ますね……本物のチートはあなたですよ」

「【見よう見まね】も少しだけ出来ます。青い魔導士じゃねえから! 物まねする人でもねえから! きつね魔導士様だから!!」

「誰も聞いてないです。話を戻しますが、エルさんの呪いが消えていくということは魔法をより操れるということになりますよね」

「まーそうだね? なに作れるの? エルたん?」



「ぎ……そ…………く」





「ええーーーーーーーー!?」




 ――――


 義足の基は南の川上流からとれる良質な粘土。これをこねて、失った足の形にしていきます。


「ふむふむ」


 形になったら3日ほど動かさないで乾燥。ハンタは大変だけど、足が戻ってくるので本気です。


 そしてここから、徐々に徐々にゆっくゆっくり魔素を通して、あーやってこーやってそーやって、義足にしていくのです。


「ほへー」


 この時一度に大量の魔素はいりません。質の良い魔素をどれだけゆっくり送り込めるかが勝負なんです。


「ふーん」


 なので毎日スキンシップを行うわけです。男女がスキンシップをしていけば、そりゃあ恋仲にも発展していくわけで。


「させん」


「??」


「だめでーす、エルたんは私のもの、ハンタがくっつくのは禁止ですー」


「じゃあ……ごしゅ……やて」


「え、私がやれと。あ、おちゃのみにいこ――」しっぽつかまれました


「いーやーだーよー!!」じたばたじたばた


「……やて」


 哀れ私はハンタに魔素を供給する係となってしまったのです。およよよ。



「こ、こうですかお客様……」

「あ、はい。とても気持ち良いです」

「ちが……こう……」

「あ、はい、エル先輩。こうですね」

「凄いな、足の感覚が戻っていってます」

「こう、こう、こう」

「ごしゅ……はや……すぎ」


 というわけできつね娘、ペットのオークエルフと共にハンタの足に毎日魔素を注入してました。


 エルたんは、夏くらいには足になるのではないか、という見通しを持っているそうです。夏まで魔素供給係です。およよよ。


 ――――


「筆頭ー、人集めてきたさかいに、みたってありんすーー」


「商人のアキちゃんありがとう。何名くらい?」


「商会本部に15名、ルーデル支部に25名、みんな30ユロルで雇ってありんすー。んで木こりが10名に――」




「まって!?!? 合計40名に30ユロル!? 1200ユロルじゃないですかちょっと!?!?」



「なん?ここなら余裕で払えるでありんすよ?毎月3500ユロルは収入があるでありんす」

「いや、労働者には20ユロルも払ってないんですけど」

「じゃあ30に引き上げでありんす。労働者は今回雇った人数全部こみこみで120名くらいいてありんすし、えーと、えーと……」

「払えないよね?」

「せ、せやな。じゃあ商人も含めた労働者に一括20ユロルで支払うでありんす。あはははは」

「2400くらいかな? 基礎収入で3500あるし、まあなんとかなるか……2次産業も起こりそうだし」

「今すぐ岩塩設備をグレードアップして人員増やしたほうがええなー。主力産業主力産業」



 商人のアキちゃん、ちゃんと商売できるのでしょうか…………。

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