第27話 1年の計は元旦にあるがきつねは寝る。


――冬が抜け、一月一日、サクラの小型砦にて――



「皆様、新年おめでとうございます」


おめでとうございまーす。一斉に発せられる声。


約60人が一堂に会して新年のご挨拶ってぇやつです。


「えーと、今年はゴブリンが絶対襲来して来るっぽいので、それに備えつつ拡大を目指していきたいと思います。皆様よろしくお願いします。美味しい料理が食べられる村にするぞっ!」


ハッピーニューイヤーの概念はこの世界にもあるんだなあなどと思いつつ新年のあいさつをしました。新年の尻尾踊りも披露したよ。あそーれしっぽがぴーん、しっぽはぴーん。ぽよよんぽよよよんしっぴがぴーん。



「それでまあ、今年の方針だけど、南のテリアルブとは川に舟作ってそれでつながる程度にして、東のルーデルと交易路を作っておきたいんだよね。ルーデルから香辛料とかを販売してきてくれてる交易商人を一つ作っておきたい」


今度はメインメンバーで話し合い。年の初めなので方針を表明。


「今はサクラさんが直接出向いてますからね。こことルーデルの市場をつないでくれる商人がいればいちいち移動して売買しなくて済むので効率が格段に違ってきますね」

「そうなのよステータスが上がって判断力が上昇したハルキ君。幸い通貨はユロルで統一されてるから為替を考えなくて済むし、買い叩きそうなら別段私が移動販売してしまえばいいから買い叩くぞって脅されても平気だし、交易路があるのは悪くないと思うのよ」


「ここは1次産業が多いっすけど、ユニークで質の高い品物が取れるっすからね。岩塩に木材に質の良い綿製品」

「ハリコーが作っている綿製品は2次産業だよね。超古代文明の糸縒り機に染色機様様だよ。これで絹とか取れればなあ。確か〈絹のなる木〉があるんだよね?」

「そっすよ。〈絹は木から生える〉っす。で、宝箱から買えばいいんじゃないっすか?うちの一家、管理出来るっすよ」

「それだっ!!」


「モロコシは大規模に拡大しやすぜぇ。羊も購入するのでやっしたですぜぇ?」

「モロッコシーとジンギスカンしたい。それと羊毛ほしいんだよね。牛は……飼料生産がまだ追い付かないかなあ。宝箱から飼料購入できると思うけど……それと、放牧する場所が足らないかな。半径5㎞しか草原がないからねえ……」

「羊にしろ牛にしろ、モロコシの茎の部分を食べさせれば栄養価はばっちりだと思いやすぜぇ!」


「うちら木こりがもっと開拓を進めないと牛はきついか。東西南北、どちらを開拓するつもりなんだ?」

「んー、キッコリー達には東を開拓してもらおうかなあ……。西はゴブリンとぶつかるし、南は川が流れてるしテリアルブ方面じゃないところを開拓しようにも山岳地域なんだよね。北はほぼ未探索だし、そうなるとルーデルとの距離があいていてなだらかな平地が続いている東が第一選択肢なのかなって」


「なめし加工と狩猟は今のところ間に合っていますね」

「ハンタにはまず義足を作るからねっ!! 皮の入手手段がケンタウロスのケンさんたちの狩猟だけという感じで、供給が安定していないのがちょっとね。やはり牛かなあ……。なめしはタンニンなめしで十分だけど、牛を導入したときに牛革作るとなったらクロムなめしなんだよねえ……。やはり牛かなあ……」

「大きな目標として、交易路、絹木、モロコシ拡大、酪農、ですかね、お館様」


「……ぁ!」

「うん、ゴブリン討伐も考えないとね。そしてエルたんの呪いを解く。楽しみだなあエルたんの呪いを解くの。舌なめずりジュルリ」

「!?!?」


カジコ率いる鍛冶屋組はのんびり金属探しと高炉及び鍛冶場製作、既存武器の改修とクロスボウの製作をする、ということで納まりまして。

石屋岩塩屋は規模を拡大したいねって感じに。


「こんなところかな、じゃあ今年も頑張っていこ―!!」


おー!!


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