第23話 帰還してこまごましたものを



「かえったどー!!」


 約一か月ぶりに帰ってきたわが開拓地。すぐにわかった変化が。


 家が数棟達建ち、

 木の壁の板が分厚くなってきたり、

 耕作地に緑色の物体が生えていたりと。


 こんな感じかな?他にいろいろと変わっていました。

 わずか1か月、されど1か月。40時間を40日だもんね。


「はい、この子が鍛冶屋のカジコさん、そしてこちらが私専用のペット、エルです。喋れないから気を利かせてね」

「よろしく、早速だけど交易であげた収益で鉄を買って、みんなの武具を作りたいわね」

「…………!」


「ひゅー、今回市長が連れてきたのはどちらも別嬪さんじゃあねえか」

「おふたりぃぃぃ! この!! 筋肉は!! いかがですかぁぁぁ!」

 むげに断られてました。めげるな筋肉、筋肉めげるな。

「馬鹿ばっかっすね、ハリコーっす。でこっちがハンタ。お洋服きたくなったらうちらに任せるっすよ」


「楽しそうな集まりねぇ。面白そうじゃない。バリバリ働くわよ! 鉄があれば、だけどね」


「……!」

 ペコリ。


「エルはハーフエルフだからちょっとエルフとは特徴が違うけど、仲良くしてあげてね。前の主人の影響で声が出せなくなっているけど、身振り手振りで、ね?」

「まあ、われらの市長が買ったんだろ? 文句は言わねえさ。職は何をさせるつもりなんだい、市長」

「キャバクラの嬢」

「声なしが出来るんでやすかい……?」


「出来る出来る。出来なくてもこの子気品が高いから、きっと何かできることがあるよ。とりあえずは、開拓民へのお茶出しね、お茶出し」



 さて私の仕事始めもしまっす。


 まずは錬金術。今は岩塩なんかの商品がございますけど、絶対確実に定価で売れる商品といえばこれよ、これ。

 こーねこねこーねこね。


 こねこねしているとエルたんがお茶出ししに来てくれました。


「あーありがとう、ずびー。お、これユラリン草のハーブティだ。エルたん草や薬草に詳しいのかな?」


「!」

 コクコク


「ほー、ついでに錬金術とかは?」


「!!」

 コックコク!コックコク!


「あー、そうなん? んじゃちょっとお手伝いしてもらおうかな」


 エルたんは悲しそうに首を振ると、首を指さして、ダメマーク。


「ん……呪いで魔力でがない?」


「……」

 コックリ。


「そっかあ。錬金術は魔力で素材を錬金させるからね……。呪い解く方法見つけ出さないといけないね」


 あそーだ、宝箱に呪いを解いてもらおう。えーと、おいくら万円かな?100000ユロル、10万ユロル。無理だ。あの喉にどんな高度な呪いの魔法がかかってるんだ……?


 で、全体の様子。


 最近の発展により宝箱からのプレゼントで貰ったのが、〈時空の資材置き場〉。

 外と中の空間量に差があって内部空間はいっぱい体積があるっていう、みんな大好きアイテムボックスの初期みたいな建物だよ。

 間口が大きく設定されている、不思議な資材で出来た3階建てくらいな外見。THE・超古代文明。


 これで、雨風関係なく岩塩おけるし、木材も石材も保管出来るスペースがある。ちょっとした武器庫にもなるねー。



 人も増えたので、サクラの家の補強及び2階建ての改装を行うことにしたよ。襲撃があったら一般人はここに退避するので頑丈に。

 まだ木材で作る感じだけど、大工を連れてきたら石とかレンガで作りたいなあ。




「ふむふむ、炭焼き小屋を北の森のほうに建てたいとな」

「ええ、針葉樹林が広がっているからね。こっちのほうが良い炭になるの」

「ふむー。建ててもいいけどあまり森に深入りしないでね。メインメンバーの手が回っていなくてほぼ未探索なんだよね」

「わかってるわ、じゃあ北のほうに建てるわよ。それと、鉄鉱石から鉄を作る高炉や、鍛冶屋の炉なんだけど……」

「ふ、そんなものは作れない」

「諦めるのは早い。南西の川の近くの粘土、あれは焼き固めればそれなりの熱耐久性を持ったレンガになるわ」

「まじかよすげえ」

「地道に焼いていくしかないけど、そこら辺に必要な【技術】は持っているから安心してね」

「まじかよすげえ」

「まじなんだよすげえ」


 この後お手お座りナデナデ祭りをやって親睦を深めまんた。カジコかぁいぃなぁぁぁぁ(じぶんのしっぽもぶんぶん)。



 鉄の需要は毎日寝る前に、魔素を出し切るのを理由にめいいっぱい鉄を生み出しているから、それを集めれば何とかなるそう。なんか炭つかって炭素量を調整するらしい、すげえ。エメラルドの石は大半の資源はあるって言っていたんだから、鉄鉱石が掘れるところとかありそうなんだけどね。


 ま、主力武器の木槍が、切っ先が鉄になっている槍になるのもそう遠くはないね!!


 ――――



「足りないなあ、やっぱり足りない」

「そうなんだよキッコリー。労働者が全然足りない」

「呼べばいい、と言いたいが、ここはあぶれ者が仕切っているところだからな……」

「まあ悪漢とか悪人とかのあぶれ者じゃないから別にいいとは思うんだけど、人種が様々だからさ、差別が出ない出にくい人を選別して集めたいんだよね。せめてオークエルフのエルたんを醜い存在として見ない程度には、人種に興味がないか寛容な人」

「……」

 ちょっと悲しそうに目を落としつつ微笑をたたえて困惑するエルたん。くぁいぃなぁ。

 今日はゴスロリを着させています。ナイスだ、ハリコー一家と高性能糸縒り機。あとで超古代文明の染色機を購入してやるからな。


「んでんで、労働者を雇うにしても今度はモロコシが足りなくなるんでしょ。うーん。この冬までは何とかやりくりして、来年の春から募集をかけようか」

「木こりと農作業はすぐに倍にしてくれ、家を建てるためや薪を作るための木材と、低木に実っている果実をとったり、開墾された土地を作ってもらわねえとどうにもならねえ。俺とモロッコシーのつてならいい人材を多少は雇えるからさ」

「ほいほい」

「俺の弟子つながりや、モロッコシーの筋肉だるまを見てきているやつらだ、多少の〈異物〉にはびくともしねえだろ」

「はーい」


 雇うのでお給料問題も出たっちゃあ出たんですが、ルーデルやテリアルブへの岩塩販売が好調なので特に問題ないということで決着が付いちゃった。岩塩様様やあ……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る